捕捉レーダー

捕捉レーダーの概要

捕捉レーダー（英: acquisition radar）は、主に目標の捕捉を行うためのレーダーシステムです。目標の追尾には、特に高精度な方位分解能が求められます。そのため、追尾レーダーは非常に狭いビーム幅を持つことが特徴ですが、捜索には適していません。したがって、捕捉レーダーは通常、捜索レーダーと併用されています。最初に捜索レーダーが目標の大まかな位置を把握し、その後、追尾レーダーのビームをその近くに指向して目標を詳細に探知・識別し、最終的に追尾に移行するというプロセスを行います。

捕捉処理の流れ

捕捉処理は、目標を追尾するための段階的なプロセスとして非常に重要です。まず、捜索レーダーは広い範囲をスキャンし、目標の存在を示す信号を受信します。その情報を基に、追尾レーダーはより狭いビームで目標の周辺に集中し、精度の高いデータを取得します。これにより、捜索から追尾への移行が円滑に行われるのです。捕捉レーダーは、このような処理が可能な専用のレーダーとして設計されていますが、追尾レーダーにも捕捉モードが組み込まれることがあります。

性能と特性

捕捉レーダーは、その性質上、追尾レーダーよりも長い探知距離を持っています。また、追尾に必要な精度で目標を検出できることも求められます。このため、パルス幅は長く設定され、パルス繰り返し周波数（PRF）は低くなる傾向があります。このような設定は、より遠方の目標を確実に捕捉するために、レーダー技術の最適化と設計の重要な要素です。

実装形態

捕捉レーダーは、専用の機器として存在することが一般的ですが、時には追尾レーダーに捕捉機能を組み込んだ形態で使用されることもあります。また、一部の捕捉レーダーは捜索レーダーの機能を兼ね備えることもあります。これにより、同一システム内での多機能化が図られ、効率的な運用が可能になります。さらに、捕捉レーダーは、他のレーダーと比較しても、時折その別称が使われることがあります。このため、特定の文脈においては捕捉レーダーと呼ばれるシステムの多様性にも注意が必要です。

参考文献

• - 吉田, 孝『改訂 レーダ技術』電子情報通信学会、1996年。
• - アダミー, デビッド『電子戦の技術 拡充編』東京電機大学出版局、2014年。
• - アダミー, デビッド『電子戦の技術 新世代脅威編』東京電機大学出版局、2018年。

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