捨子古丹島

捨子古丹島について

捨子古丹島（しゃすこたんとう）は、千島列島の中部に位置する火山島であり、その名前はアイヌ語に由来しています。ロシア語ではシアシュコタン島（о. Шиашкотан）と呼ばれ、英語ではShiashkotanと表記されます。この島は、日本の元禄時代に作成された「元禄御国絵図」では「しいあしこたん」と記されています。この名称については山田秀三による研究があり、例えば「シャク・コタン（夏の村）」や「シャシ・コタン（昆布の村）」という仮説がありますが、正確な語義は不明とされています。

地理

捨子古丹島は、おおむね瓢箪のような形をしており、北東から南西に約25キロメートル、最大幅9キロメートル、最小幅900メートルというサイズです。周囲にはいくつかの島が存在し、北東に約30キロメートルのところには春牟古丹島、南西約80キロメートルには雷公計島があり、いずれも捨子古丹海峡や牟知列岩を挟んで隣接しています。島の中央部には乙女湾という砂浜からなる湾があり、その他の地域は断崖に囲まれています。

また、この島にはいくつかの火山が存在し、主なものとして黒岳（934メートル）、赤岳（898メートル）、北硫黄岳（828メートル）、南硫黄岳（818メートル）が挙げられます。この火山は時折噴気や噴煙を見せており、特に黒岳は1725年からは数回の噴火を記録しています。

歴史

古代から、捨子古丹島には千島アイヌが居住しており、高さ200メートルほどの崖の上にはその痕跡が今も残っています。この地域にはラッコが多く生息しており、近隣の島々に住むアイヌの人々はこれを捕まえるために訪れていました。

島名が記されたのは1700年（元禄13年）、松前藩が幕府に提出した松前島郷帳においてです。その後、1855年に日露通好条約によりロシア領となり、1872年の火山噴火により千島アイヌの13名が死亡しました。また、1875年の噴火では、島に住むアイヌの集落が全滅するという衝撃的な出来事もありました。

この年、樺太・千島交換条約により日本領となり、初めて島に把握された住民は23名でした。その後、1884年に千島アイヌが色丹島に移住したことで、捨子古丹島は無人島となります。

1893年には、千島報効義会の会員9名が越年を試みるも、不運にも4名がその後発見された遺体として見つかりました。残りの5名は出猟中の事故で消息を絶ったとされています。2018年には、島の西側の入り江で絶滅危惧種のシジュウカラガンが目撃され、繁殖の可能性が指摘されています。

日本の行政区分において、捨子古丹島は北海道根室支庁（現・根室振興局）に属していました。サンフランシスコ平和条約後は、日本政府が国際法的な立場として帰属未定地を主張する一方、現在はロシア連邦が実効支配を行っています。

まとめ

捨子古丹島は、アイヌ文化と厳しい自然環境で知られる独特の場所で、その歴史は多くの出来事と悲劇に彩られています。異国の支配を受けながらも、その魅力的な自然環境や豊かな歴史は、今も多くの人々の関心を引きつけています。

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