掃部司

掃部司（そうぶし・かにもりのつかさ）

掃部司は、古代日本の律令制において、大蔵省に属する機関の一つであり、主に宮中での清掃や設営を担当していました。この役職は特に皇居内での重要な行事や日常業務に関連しており、宮中の清掃や設備の管理が主な職務でした。

職掌と役割

掃部司の職掌には、朝廷の儀式や行事に関わる敷物の管理、設営、清掃などが含まれていました。具体的には、薦（こも）、席（むしろ）、牀（とこ）、簀（すのこ）、苫（とま）といった敷物や寝具の取り扱いが求められました。また、舗設や洒掃（きれいにするために水をかけること）を行うこともその職務の一環であり、これにより宮中の環境を清潔に保つ役割も果たしていました。

さらに、史書『令集解』によると、掃部司は茨田葦原で藺草などを栽培し、これを薦や席の材料として使用していたことが記されています。このように、掃部司は単に清掃を行うだけでなく、必要な資材の準備から管理までを行う幅広い役割を担っていたのです。

組織と構成

掃部司の組織構成は『養老令』によって規定されており、正（かみ）1名、佑（すけ）1名、令史（さかん）1名の役職が設置されていました。また、伴部の掃部が10名、使部が6名、直丁が1名、駆使丁が20名といった、さまざまな役職者により成り立っていました。これにより、掃部司は常に宮中の整備を行うための人員を確保していたのです。

沿革

834年（弘仁11年）、閏1月5日には同じ職掌を持つ宮内省内の掃部司と統合され、宮内省掃部寮が成立しました。この統合により、掃部業務はさらに発展し、効率的な管理と運営が図られることとなりました。

掃部司は、古代日本の官制において重要な役割を担っていた機関であり、特に宮中の清掃や設営という、厳かで重要な場面での業務を担当していました。これにより、当時の皇室や朝廷の儀式は円滑に進行することができたと考えられています。

参考文献

• - 『岩波日本史辞典』、監修：永原慶二、岩波書店 1999年
• - 『国史大辞典』第八巻、吉川弘文館 1989年

掃部司についての知識を深めることで、古代日本の官制や宮中の運営についてより理解を深めることができるでしょう。また、日本の官制についての関連項目も調べることで、当時の社会や文化の全体像に迫ることができます。

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