授権条項

授権条項の概要

授権条項（じゅけんじょうこう、英語: Enabling Clause）は、1979年にGATT（関税及び貿易に関する一般協定）の東京ラウンド交渉において採択されたもので、特に開発途上国に対する特別な貿易扱いについて定めている重要な規定です。これは、開発途上国の経済発展を促進し、彼らの貿易の参加をより活発にすることを狙いとしています。

歴史的背景

1970年代の初め、一般特恵関税制度が実施され始めました。この制度は、GATTが掲げる最恵国待遇原則に反する内容であったため、1971年にGATT締約国団によって義務免除措置（通称ウェーバー）が導入されました。この措置は、10年間の期限が設けられていましたが、その後、授権条項として永続化されることとなりました。

授権条項の内容

授権条項は、GATT第1条に明記されている最恵国待遇の原則を特例として、開発途上国に対してより有利な貿易条件、すなわち特恵関税を適用することを認めています。また、この条項によって、開発途上国間の貿易協定は、GATT第24条に示される厳しい条件をクリアせずとも認可されることになります。これは、開発途上国が直面する特有の経済的課題に対処するための配慮がなされている結果です。

WTOとの関連

授権条項は、WTO（世界貿易機関）協定の付属書1Aにも含まれており、1994年にGATTの一部として正式に位置付けられました。ここには、GATTの第1(b)(IV)の(iv)項に関連する決定が記されています。これにより、授権条項はWTO体制内での開発途上国への優遇措置を正当化するルールの一部となっています。

課題と今後の展望

ただし、授権条項に関するひとつの大きな問題点は、GATT第24条との関係について明確に言及がされていない点です。そのため、地域貿易協定に対する規律適用に関して不透明な部分が存在し、これがWTO体制の形骸化を招く可能性が指摘されています。このような問題は、ドーハラウンドとして知られる交渉の場で議題として取り上げられていますが、進展はあまり見られていないのが現状です。

授権条項は、開発途上国にとって経済発展を促す重要な枠組みである一方、規律の不明確さや協定の実施状況が今後の議題として残るなど、さまざまな課題を抱えています。ワールドトレード機関のもとでのこのような条項は、将来的にも国際貿易において重要な役割を果たすことが期待されています。

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