探針

探針：多様な用途を持つ精密機器

探針とは、対象物を探査したり、その特性を検査・測定するための道具です。多くの探針は先端が鋭く尖った金属製ですが、その形状や用途は多岐に渡り、医療現場から最先端の科学技術まで、幅広い分野で活用されています。

医療における探針

医療においては、負傷部位の確認や診断に探針が用いられます。外科手術では、組織を探索するための器具として、また歯科検診では、歯周ポケットの深さを測定するポケット探針など、精密な検査を可能にするツールとして使用されています。これらの探針は、その形状や機能から、エクスプローラと呼ばれることもあります。

計測機器における探針

オシロスコープ等の測定機器では、測定対象と機器を接続するためのアクセサリとして探針（プローブ）が使用されます。電圧プローブは、測定対象に押し当てる先端の尖った針とグランド接続端子から構成され、電圧の測定を行います。他にも、2点間の電圧差を測定する差動プローブ、高電圧プローブ、フローティングプローブ、電流プローブ、FETプローブなど、様々な種類のプローブが存在し、それぞれが異なる測定目的に適しています。

プラズマ計測においては、静電探針（ラングミュアプローブ）が電子温度等のプラズマ特性の測定に使用されます。表面粗さ計や走査型プローブ顕微鏡では、試料表面の凹凸を捉えるためのプローブとして探針が用いられます。これらの探針は、試料に接触させて表面を走査し、その形状を精密に測定します。

その他の探針

遺伝子解析では、特定の遺伝子配列を検出するための分子プローブが用いられますが、これは針状ではないため、通常は探針とは呼ばれません。雪崩捜索においては、埋没者を発見するための棒状の探針（プローブ、ゾンデ）が使用されます。この探針は、折り畳み式で、伸ばすと3メートル程の長さになります。

探針を使用する装置

様々な装置が探針を用いて精密な測定や検査を行います。代表的な装置としては以下のものがあります。

プローバー: 半導体ICの電気特性を検査する装置で、金属製のプローブ（プローブカード）を用いて電極に接触し測定を行います。
触針式段差計（スタイラスプロファイロメータ）: カンチレバーの先端に付いたダイヤモンドチップ（スタイラス）で試料表面をなぞり、その凹凸を測定する装置です。測定結果を拡大表示することで、表面の荒さや段差を定量的に評価できます。
* 走査型プローブ顕微鏡: 原子間力顕微鏡(AFM)などを含む走査型プローブ顕微鏡は、機械的に試料に作用するプローブ（探針）を用いて、ナノメートルスケールの表面形状や物性を測定します。探針はカンチレバーの先端に装着され、試料表面を走査することで、高解像度の画像を取得します。

走査型[プローブ]]顕微鏡で使用される探針は、その先端の曲率半径が非常に小さく、10nm程度まで尖っているものもあります。曲率半径が小さいほど分解能が高くなり、より精密な測定が可能です。探針の材料としては、単結晶シリコンや窒化シリコンが一般的ですが、[[カーボンナノチューブ]を用いた探針や、電子ビーム堆積法(EBD)で作成された探針なども使用されています。これらの探針は、ナノテクノロジー分野における重要なツールとなっています。

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