接待館遺跡

接待館遺跡について

接待館遺跡（せったいだていせき）は、岩手県奥州市衣川に位置する平安時代の遺跡で、国の史跡に指定されています。この遺跡は、中尊寺の北側、衣川北岸に広がり、12世紀後半の掘立柱建物跡、土坑、溝跡、堀跡、土塁跡、竪穴建物跡など、多数の考古学的遺構が発見されています。また、大量のかわらけが出土しており、当時の生活や文化を知る貴重な資源となっています。

「接待館」という名称の由来は、藤原基衡の妻が仏教に深く帰依し、通り過ぎる旅人に接待や施しを行っていたことからきていると伝えられています。このため、接待館遺跡は当時、重要な迎賓館としての機能を果たしていたと考えられています。実際、この遺跡は平泉町の柳之御所遺跡と同様に、その周囲を堀と土塁で囲まれており、多くの儀式や儀礼が行われていたことが示唆されています。このことから、接待館遺跡は奥州藤原氏の祖先である安倍氏の政治的な中心地であったと推測されます。

さらに、接待館遺跡と他の遺跡からは、12世紀の奥州藤原氏の時代に属する遺構が広範囲にわたって発見されており、この地域の市街地が衣川北側にも広がっていたことが確認されています。これは、奥州藤原氏の3代目秀衡の母の居館であり、平泉府の迎賓館であった可能性が高いことを示しています。また、接待館遺跡に関連しては、源義経が自害した藤原基成の屋敷、衣川館跡の候補地としても関心が寄せられています。

現在の状況

接待館遺跡は、2010年に隣接する細田遺跡と六日市場遺跡と共に「柳之御所・平泉遺跡群」として国の史跡に追加指定されました。さらに、2011年には世界遺産に登録された「平泉―仏国土（浄土）を表す建築・庭園及び考古学的遺跡群―」の構成資産候補にもなっています。

所在地は、岩手県奥州市衣川大字下衣川字七日市場で、多くの人々が訪れる場所となっています。接待館遺跡は、奥州藤原氏の歴史を知る手がかりとなる重要な遺跡であり、その研究と保護が今後の課題とされています。

関連項目

接待館遺跡は、柳之御所遺跡や長者ヶ原廃寺跡、白鳥舘遺跡などとともに、北海道・東北地方の史跡の一環として位置付けられています。特に、源義経に関する史跡や祭祀の一覧とも関連があり、地域の歴史的背景を考察する上でも注目されています。今後もさらなる研究が進むことに期待が寄せられています。

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