かわらけ

かわらけの概要

かわらけ（漢字では「土器」と表記される）は、日本の中世から近世（平安時代末 - 江戸時代）にかけて製造されていた素焼きの器の一つです。この用語は、特に碗や皿のような小型の器を指します。実際、古墳時代から続く土師器の系統に属し、土師質土器（碗や皿）や中世土師器などとも呼ばれることがあります。

江戸時代に成立した山岡浚明の百科事典『類聚名物考』によれば、古来より素焼きの土器全般が「カワラケ」と称されていました。釉薬を掛けて焼成した器は陶器や瓦器と区別され、素焼きだけが土器として定義されるとのことです。また、文献『大鏡』では、村上天皇に寵愛される女御の芳子が、中宮・安子の嫉妬の対象となり、芳子に向けて投げつけられた土器片も「かはらけ」と表記されています。

使用頻度と製造方法

今日の考古学の分野では、遺跡から出土した土師器に属する小型の皿や碗を指して「かわらけ」と用いられています。これらの器は口縁部の直径が約7〜15センチメートルであり、特に京都では手捏ねで作られ、周辺地域や東日本では轆轤成形によるものが多いです。上級官人の館では、饗宴や儀礼の場において食器や灯明皿として重宝されており、使用後は短期間で大量に廃棄されたと考えられています。この特徴は現代の宴会における使い捨ての紙皿やコップに似ています。

遺構と文化的意義

中世の豪族の居館跡からは、大量に廃棄されたかわらけが見つかることがあり、これは「かわらけだまり」と呼ばれています。このような遺構は、当時の社交文化や食のスタイルを物語る重要な証拠です。

隠語としての用法

興味深いことに、古くから「かわらけ」は女性の陰部に関連する隠語としても使用されていました。特に、陰毛が無い女性（いわゆる「パイパン」）を指す言葉として使われたことがあります。

参考文献と関連項目

かわらけという言葉やその歴史的背景についての深い知識を求める場合、いくつかの重要な文献があります。例えば、吉岡康暢によるシンポジウム報告や、斎藤忠の『日本考古学用語辞典』などです。さらに、かわらけ投げやインドで使用される使い捨て陶器のクルハドなど、関連の文化について探ることも面白いでしょう。\

ここまで、かわらけという素焼きの土器について説明してきました。その歴史的意義、使用法、そして文化的な裏側に触れることで、ただの土器以上の価値を理解する手助けになればと思います。

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