掴み投げ

掴み投げ（つかみなげ）は、相撲における決まり手の一つであり、相手のまわしを片手で掴み、そのまま投げるという豪快な技です。

概要

通常は、相手のまわしの上手（うわて）を取り、その掴んだ手で相手を自分の後方へ投げ捨てるようにして決まります。しかし、この技は決まり手としては非常に珍しく、過去には常陸山がよく使っていたと伝えられています。

この技が決まるには、かける側とかけられる側の間に、かなりの体格差があるか、あるいは、かける側に並外れた腕力が必要です。そのため、幕内（まくうち）の取組においては、平成以降、この決まり手が見られることはありませんでした。ただし、2012年の大相撲トーナメントにおいて、横綱・白鵬が隆の山に対してこの技を決め、勝利しています。また、序二段（じょにだん）の取組では、過去に4回ほど記録されています。

木村えいじの相撲漫画「達磨」の中では、十両力士である八角が、同じく十両の逆巻に対してこの技を使い、全勝優勝を果たすという場面が描かれています。これは、掴み投げの豪快さを象徴するエピソードと言えるでしょう。

一般的に、体重の軽い力士がこの技をかけられやすい傾向にあります。しかし、1951年5月場所では、当時90kgと軽量力士であった鳴門海が、この掴み投げで2度も勝利するという珍しい記録を残しています。これは、体格差を覆す、技術と力の見事な融合と言えるでしょう。

掴み投げは、その珍しさと豪快さから、決まれば観客を大いに沸かせる技の一つです。しかし、決めるためには、体格差や腕力といった要素が大きく影響するため、実際の取組で見られる機会は稀です。そのため、幻の決まり手とも呼ばれることがあります。

関連項目

相撲
大相撲の決まり手一覧

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