揚げ代

揚げ代について

揚げ代（あげだい）とは、江戸時代の遊女や芸者を揚屋へ呼び、楽しむための代金を指します。この代金は、遊女の格式や遊びの時間帯に応じて設定されていました。

揚げ代の概要

揚げ代の制度は、初めは遊女の社会的地位や格式に基づいて料金が決められていました。具体的には、遊女の種類やその格によって異なり、それに応じて呼び出す際の料金が設定されていました。しかし、次第に時間によっても料金が分けられるようになり、昼間、半夜、そして宵から朝までの時間帯ごとに異なる揚げ代が設定されるようになりました。

例えば、安永4年に発行された「吉原細見」には、太夫に対しては「九十目」、若い遊女の「格子」には「六十目」、そして「散茶金」は「三歩」といった具体的な数字が記載されています。このように、時代を経るごとに揚げ代の細分化が進んでいったことが見て取れます。

時間ごとの料金

天保14年に刊行された大坂新町の細見『妻志留志』においても、料金の詳細が示されています。例えば、太夫の料金は昼から暮時までが「六十九匁」、夕方から夜分までが「二十二匁五分」、そして泊まりの場合は「十五匁」というふうに、搭乗時間によって異なっていました。芸子や太鼓持ち、送り女郎など、それぞれの職業によっても異なる料金が設定されており、料金混合制度の複雑さが伺えます。

この資料には、「花といふ時、一切四匁三分」といった注釈もあり、特別な日やイベントによる料金の変動についても触れられています。

揚げ代の変遷

揚げ代はもともと遊女のために存在していた概念ですが、後には芸妓の登場により広がりを見せました。つまり、遊女だけでなく芸妓を呼ぶ際にもこの用語が使われるようになったのです。こうした変化は、江戸の遊廓文化の中での女性の役割が移り変わる過程でもありました。

まとめ

揚げ代は、江戸時代の娯楽文化の中で重要な役割を果たしてきました。その料金設定は、様々な要因に基づいて細かく決められ、遊女や芸者たちの地位を反映するものでした。揚げ代の仕組みを理解することで、当時の社会の文化的背景や人々の楽しみ方に迫ることができます。このように、揚げ代はただの料金ではなく、歴史的な文脈や文化が凝縮された重要な要素であることがわかります。

関連項目

• - 桶伏せ
• - 仲間事

もう一度検索