摩耶山送信所

摩耶山送信所：神戸の放送拠点

摩耶山送信所は、兵庫県神戸市灘区摩耶山山頂にある、テレビジョン放送とFMラジオ放送の中枢を担う施設です。NHK神戸放送局の総合テレビ放送、サンテレビジョン、Kiss FM KOBEは親局として、その他の在阪局は中継局として送信設備を有しています。さらに、過去にはジャパン・モバイルキャスティングの中継局も存在し、2019年にはラジオ関西のFM補完中継局も開局しました。本稿では、これらの送信所と、その歴史、放送区域、そして施設について詳しく解説します。

放送区域：親局と中継局、そして局ごとの違い

摩耶山送信所の放送区域は、親局と中継局、そしてNHKと民放で異なります。

親局（NHK総合、サンテレビ）：広範囲をカバー

NHK神戸総合テレビとサンテレビジョンは摩耶山送信所を親局として、神戸市全域に加え、明石市、加古郡の一部、そして大阪市の一部まで放送エリアをカバーしています。世帯数でいうと、サンテレビは約160万世帯、NHK神戸は約125万世帯に電波が届きます。ただし、摩耶山の地形的な影響から、北側や山陰となる地域はカバーできず、これらの地域は麓の中継局が補完しています。

中継局（NHK教育、在阪広域民放）：局所的なカバー

NHK大阪教育テレビと在阪広域民放各局は、摩耶山送信所を中継局として使用しています。放送区域は神戸市の一部と三木市の一部で、約7万世帯をカバーします。六甲山地の北側と西側は大阪本局からの電波が届かないため、摩耶山送信所からの電波が不可欠となります。一方、東側と南側は大阪本局からの電波が届くため、送信方向を西側に限定することで重複を避けています。こちらも、山陰となる地域は麓の中継局がカバーしています。

FM放送：Kiss FM KOBEの全国ネット番組

FM放送に関しては、Kiss FM KOBEが2003年にJFN（全国FM放送協議会）に加盟したことで、TOKYO FM制作の全国ネット番組が、摩耶山山頂以北のFM大阪の電波が届かない地域でも受信できるようになりました。

歴史：1969年から現在まで

摩耶山送信所の歴史は、1969年のサンテレビの試験放送開始に始まります。その後、NHK神戸総合テレビ、NHK大阪教育テレビ神戸中継局、在阪広域民放各局が順次開局しました。2004年から2006年にかけては、地上デジタル放送への移行が行われ、2011年にはアナログ放送が完全に終了しました。このデジタル放送移行の際には、アナログチャンネルの再配置（アナアナ変換）も行われ、多くの世帯が対応を行いました。また、2012年から2016年にかけては、V-Highマルチメディア放送も試験放送・本放送が行われましたが、2016年に終了しました。

施設：摩耶山山頂の送信設備

送信施設は、摩耶山山頂（標高698.6m）に位置しています。サンテレビとNHK（神戸・大阪）はそれぞれ単独で施設を使用し、在阪民放4社（MBS、ABC、KTV、ytv）は共同で使用しています。サンテレビの送信所は摩耶ロープウェー星の駅近くにあり、在阪民放とNHKの送信所はそこから西側に位置しています。各局の所在地は、サンテレビ：兵庫県神戸市灘区摩耶山町2番地の2、NHK神戸放送局：兵庫県神戸市灘区摩耶山町2番地の7、在阪民放4社：兵庫県神戸市灘区摩耶山となっています。NHK神戸は、総合テレビの親局と教育テレビの中継局の両方を管理しています。

今後の展望

摩耶山送信所は、今後も神戸エリアの放送の中核として、安定した放送サービスの提供を担っていくでしょう。技術革新や放送環境の変化に対応しながら、その役割を果たし続けることが期待されています。

もう一度検索