撫養町

撫養町（むやちょう）についての紹介

撫養町は、かつて徳島県板野郡に存在した町で、現在は鳴門市の一部として知られています。町名は撫養という言葉に由来し、徳島県の中心都市の一つとして古くから栄えてきました。特に、1889年に町村制が施行された際には、徳島県内で最初に「町」として認可された二つの自治体の一つであり、地域の歴史において重要な役割を担っていました。

歴史的背景

撫養町の歴史は古く、奈良時代や平安時代にまで遡ります。近畿地方と接していたことから、この地域は古来より交通の要所として発展してきました。757年に講じた風土記に「むや」の表現が見られることから、この地域における撫養の歴史が記録として残る最古の例と言えるでしょう。また、平安時代の『土佐日記』にも「牟野（むや）」との記述が見受けられます。

室町時代には、撫養町は三好氏の城下町として栄え、特に1585年には蜂須賀家政によって岡崎城（撫養城）が築かれたことで、さらなる発展を遂げました。岡崎城の存在は、この場所が阿波九城の一部として、淡路島への交通の拠点となることに寄与しました。このようにして、撫養町は地域の中心として次第に重要な地位を確立していきました。

江戸時代には「斎田塩」の製塩業が発展し、塩や藍が積み出される港町として栄えました。撫養町は四国地域の重要な港の一つとなり、多くの廻船がこの港に集まりました。しかし、港口には暗礁が多数存在しており、大型船の航行には制約がありました。これにより、昭和に入ると港町としての機能は段階的に衰退し始めました。特に1934年の室戸台風では、塩田が大きな被害を受け、地域経済が大打撃を受けました。

沿革

撫養町は1889年（明治22年）10月1日に、板野郡に所在していた木津村、南浜村、斎田村、黒崎村、小桑島村、大桑島村、岡崎村、弁財天村、北浜村、林崎村、立岩村が合併して設立されました。当初は大字斎田字岩崎に役場が置かれましたが、1898年（明治31年）には大字斎田字浜端南に、1924年（大正13年）には大字南浜へと移転しました。

その後、1952年（昭和27年）3月15日には、板野郡の瀬戸町、鳴門町、里浦村と合併し、鳴南市が設立されることに伴い、撫養町は廃止されました。この町の歴史は、地域の文化や経済に大きな影響を与え続けており、現在もその名が人々の記憶に残り続けています。

参考文献

• - 『角川日本地名大辞典 36 徳島県』（1986年 ISBN 4040013603）

撫養町は、かつての姿を失いながらも、地域の重要性とともに人々の記憶に刻まれています。その栄光の歴史は、地域のアイデンティティとして、今なお多くの人に語り継がれています。

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