攬勝亭

攬勝亭（らんしょうてい）：会津の歴史を彩った庭園の記憶

攬勝亭は、かつて福島県会津若松市柳原二丁目に存在した日本庭園で、会津三庭園の一つとしてその名を馳せていました。地方四苑の一つとも言われ、その美しい景観は多くの人々を魅了しました。

歴史

攬勝亭の歴史は古く、江戸時代の天文年間に遡ります。長尾氏によって造園されたこの庭園は、その前身を天文12年（1543年）に長尾信景が築いた庭に持つとされています。攬勝亭は目黒浄定の作であるという伝承も残されています。『若松市史』（昭和16年）には、「亭は北会津郡神指村字柳原元肝煎長尾代吉の庭園なり」と記されています。

庭園の名前「攬勝亭」は、保科正之によって命名されました。その景観は御薬園や可月亭庭園とともに、会津を代表する三つの庭園として高く評価されていました。

しかし、時代の流れとともに、攬勝亭は姿を変えていきます。2019年（令和元年）12月には会津若松市から開発許可が下り、跡地は宅地化されることとなりました。

庭園内には、会津藩主松平容保の歌碑や俳人九華堂東三の句碑が残されていました。会津若松市は、これらの石碑を宅地内の緑地に保存するよう開発業者に依頼し、業者側もその方針に同意していました。石碑は緩衝材に包まれ、現地で保管されていましたが、2022年（令和4年）夏に業者と会津若松市教育委員会文化課の担当者が確認したところ、包まれていたのは別の石であることが判明し、石碑は所在不明となってしまいました。

攬勝亭の詳しい歴史や保存活動の詳細については、攬勝亭を守る会のホームページ、ブログ「攬勝亭物語」、Facebookページ「攬勝亭を守る会」で公開されています。

構成

攬勝亭は、磐梯山を望む絶好のロケーションに築かれた日本庭園でした。その面積は約830坪に及び、5か所の築山、上池、中池、下池の3つの池が細い水路で繋がれた美しい景観が特徴でした。

上池には中島が設けられ、石橋や沢飛が配置されていました。園内各所には、凝灰岩製の雪見石燈籠や層塔が添景として置かれ、庭園の雰囲気を高めていました。

攬勝亭は、その歴史と美しい景観で多くの人々を魅了しましたが、現在は宅地化され、その姿を見ることはできません。しかし、その名前と記憶は、会津の歴史とともに語り継がれていくことでしょう。

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