支城

支城：本城を守るための要塞

支城とは、主要な城である本城を守るために築かれた、補助的な役割を持つ城、砦、陣屋などの総称です。枝城とも呼ばれ、戦国時代には、本城と支城が複雑に連携した支城網が構築されるようになりました。

語源と概念

「支城」という語は、本城に対して補助的な役割を持つ城を意味する漢語表現です。一方、「枝城」は、大和言葉の「根城」に対応する言葉で、「枝」は「支」とほぼ同義です。「本城」の「本」は、木の幹を表すことから、支城と本城の関係を木の幹と枝の関係に喩えていると言えるでしょう。つまり、「支城」と「枝城」は、本城との位置関係を分かりやすく表現した言葉なのです。

支城の種類と役割

支城には、その役割や規模によって様々な種類があります。

防衛拠点としての支城

詰の城: 本城の近くに築かれ、山などの要害の地を利用した防衛用の出城です。本城を守る最前線の役割を担っていました。
直轄支城: 本城から直接支配され、重要な拠点として機能する支城です。

攻撃拠点としての支城

向城・付城・対の城: 城攻めの際に、敵城に対峙するように築かれた支城です。付城は、本城の付属施設としての役割も担う場合がありました。

その他の役割を持つ支城

境の城・境目の城: 領地の境界に位置し、国境防衛の役割を担っていました。例えば、毛利氏は備中国の境界に「境目七城」を築き、織田信長の中国攻めに備えました。
番城・番手城: 城主に常駐する兵士はおらず、本城から直接管理される支城です。江戸時代の大阪城や二条[[城]]なども、公儀の番城としてこのタイプに該当します。
繋の城・伝えの城: 狼煙による通信連絡、街道の関所、兵員の集結・移動・宿営のための拠点として機能しました。
陣城: 野戦の際に一時的に構築される簡易な城です。

支城網：広域的な防衛ネットワーク

支城網とは、本城を中心として、それを守るための支城、枝城、砦などが配置された、広域的な防衛ネットワークです。戦国時代には、領国の支配と防衛に重要な役割を果たしました。

支城網の事例

後北条氏: 小田原城を中心とした120もの城砦からなる支城網を構築していました。
箕輪城: 上野国の箕輪城には、大小302もの支城・砦が存在しました。
尼子氏: 月山富田城を中心とした尼子十旗・尼子十砦と呼ばれる支城網を構築していました。

支城の終焉

支城は本城を守る重要な拠点でしたが、同時に敵の攻撃目標にもなりやすいため、敵の侵攻を防ぐために破却されることもありました。織田信長や豊臣秀吉による天下統一の後、支城の多くは廃城となり、1615年の一国一[[城令]]によって、支城は完全に姿を消しました。

包囲戦と支城網

支城網は、包囲戦においても重要な役割を果たしました。敵の包囲網に対抗するため、あるいは敵を包囲するために、支城網が活用されました。古代ローマの軍事戦略にも、内側の支城網（circumvallation）と外側の支城網（contravallation）という概念があり、支城網の重要性を示しています。アレシアの戦いは、この概念が実践された有名な例です。

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