支援戦闘機

支援戦闘機について

支援戦闘機とは、日本の航空自衛隊において、特定の任務を担う戦闘機の一種であり、主に対艦攻撃や対地攻撃、近接航空支援を行います。この名称は、攻撃という言葉を避けるために、地上部隊や艦隊を「支援」することを強調した自衛隊独自の表現です。支援戦闘機は1977年から使用されましたが、2005年には要撃機と統合され、多用途戦闘機として扱われるようになり、名目上は消滅しました。

歴史的背景

戦後の日本では、航空自衛隊の設立にあたり、防空を重視した体制が整えられました。この背景には、アメリカ駐留軍の組織の影響が大きくありました。1950年に朝鮮戦争が勃発し、日本に駐留していた第5空軍が朝鮮半島へ移動した際、日本の防空任務を支援する部隊が設立されました。この体制は、航空自衛隊が1954年に正式に設立された際にも受け継がれ、その結果、航空自衛隊は防空任務に重点を置くことになりました。

航空自衛隊の活動の初期において、主力機にはF-86がありましたが、1954年以降はF-104が配備され、F-86Fの余剰機をどのように活用するかという問題が浮上しました。この背景から、F-86Fを対地攻撃任務に用いる支援戦闘飛行隊の編成が検討されました。結果として、F-86Fを基にした支援戦闘飛行隊が設置され、これらは実際には要撃任務も担っていました。

1976年には「防衛計画の大綱」により、防空力の充実が図られ、支援戦闘機隊が必要な数として3個飛行隊、約100機と設定されました。支援戦闘機は航空自衛隊の中で重要な役割を果たしましたが、特に海上自衛隊との協同演習では、低空を高速で航行する支援戦闘機としてのF-86Fが高い評価を受けました。

主要な機体とその進化

F-86Fの後継機として三菱F-1が1977年から配備され、主に対艦攻撃を主たる任務としました。高精度の航法装置と80式空対艦誘導弾を利用して、敵艦に対する低空侵入攻撃を行う能力を有しました。しかし、調達数は当初の計画よりも少なく、77機に留まりました。この後、2000年にはF-2A/Bが導入され、より高い攻撃能力を持つ多用途戦闘機として運用されることになりました。

また、航空自衛隊は要撃と支援の区分を廃止し、全機種をマルチロールファイターとしていることが、2005年の防衛大綱に反映されました。これにより、支援戦闘機とそれに伴う任務の区分は形骸化し、今後はすべての飛行機が複数の役割を果たす体制へと向かっています。

まとめ

支援戦闘機は日本の航空自衛隊において重要な役割を担ってきましたが、時代の変化とともにその役割や名称が進化してきました。現在は、支援と要撃の区分がなくなり、全ての機体がマルチロール機として機能する時代に移行しています。航空自衛隊の多様な任務への適応とともに、戦闘機の進化は続いています。

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