80式空対艦誘導弾

80式空対艦誘導弾（ASM-1）

80式空対艦誘導弾は、日本の航空自衛隊が運用する空対艦ミサイルであり、1980年から配備が始まりました。主契約会社は三菱重工業で、開発には他の複数の企業も関与しています。総開発費は約113億円となっています。

来歴

このミサイルの開発は昭和40年代にさかのぼります。第3次防衛力整備計画に基づいて、F-86F戦闘機の後継機T-2の開発が進められました。T-2の設計段階では、対地ミサイルに関する議論があったものの、実際には進展しませんでした。

1971年6月のパリ航空ショーで、三菱重工業はフランスのマトラ社からの接触を受け、空対艦ミサイルの開発に向けた動きが始まります。1972年からはT-2を基にした支援戦闘機F-1の開発が進む中、将来的な空対艦ミサイルの導入も検討されました。このプロジェクトは1974年に基本設計命令が下され、数年にわたる試作品の開発を経て、1979年から実用試験が行われました。

実用試験では、模擬標的に対して多くの発射試験が行われ、誘導性能が非常に良好であることが確認されました。特に、F-1支援戦闘機を発射母機とすることを前提に開発されましたが、F-4EJ改戦闘機やF-2戦闘機でも運用可能です。

設計

80式空対艦誘導弾は葉巻型の形状をしており、胴体に4枚の主翼と4枚の尾翼が配置されています。ミサイルは、センサー、誘導部、弾頭、エンジンから構成されています。エンジンには固体燃料ロケットを使用し、操舵翼は電動で駆動され、最大舵角は±20度です。

誘導方式は慣性誘導とアクティブ・レーダー・ホーミング（ARH）の2種類を使用します。レーダーはXバンドで操作され、電子防護機能を備え、周波数変換や妨害源の追尾が可能です。また、シースキマー機能として、FM/CW式の電波高度計を搭載しています。

このミサイルはモジュール設計がなされており、今後の発展に備えた設計となっています。これを基にした新しい対艦誘導弾も開発される予定です。

登場作品

80式空対艦誘導弾は多くのメディアにも登場しています。例えば、映画『ゴジラ (1984年の映画)』では、架空のF-1CCVに搭載され実用されました。また、アニメ『終末トレインどこへいく?』や小説『異聞・ミッドウェー海戦』などでも描かれています。特に小説では、タイムスリップした未来からの兵器として描かれ、興味深いストーリーが展開されます。

このように、80式空対艦誘導弾は日本の防衛において重要な役割を果たしており、今後もその運用と改良が続けられることでしょう。

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