放生寺 (新宿区)

放生寺

放生寺（ほうしょうじ）は、東京都新宿区西早稲田二丁目に位置する高野山真言宗の寺院です。山号を光松山（こうしょうざん）と称し、本尊には聖観世音菩薩を祀っています。この寺は、江戸三十三観音札所の第15番、御府内八十八箇所の第30番としても知られています。

歴史

放生寺は、1641年（寛永18年）に穴八幡宮（高田八幡）の別当寺として、同神社の隣接地に創建されました。寺号が示す通り、古くから「放生会」（ほうじょうえ）という仏教の儀式で知られ、特に虫封じの利益があると言われています。この地域はかつて「牛込放生寺門前」と呼ばれる町屋が形成されていましたが、1869年（明治2年）に高田馬場にちなんで「牛込高田町」と改称されました。その後、1975年（昭和50年）に住居表示が実施された際に、戸塚町や諏訪町の一部と共に西早稲田となり、その地名は消滅しました。

創建当初、穴八幡の境内には放生池がありましたが、明治時代の神仏分離令によって池は放生寺の管理下となり、1920年代に埋め立てられました。現在では、本堂の脇にある池が放生会に使用されています。第二次世界大戦により中断されていた放生会は、約40年の空白期間を経て再開されましたが、その過程で多くの伝統が失われてしまいました。それでも、毎年スポーツの日には多くの参拝者が訪れ、その伝統を今に伝えています。

年中行事

放生寺では、年間を通して様々な行事が行われています。

春季本尊開帳法会: 毎年4月18日に開催されます。
放生会: 毎年スポーツの日に開催され、多くの参拝者で賑わいます。
冬至祭: 毎年冬至の日に行われます。

その他

放生寺は、創建当初から穴八幡宮と不可分の関係にありました。そのため、神仏習合の時代に始まった「一陽来復」の札の授与は、現在でも両寺院で行われています。ただし、放生寺で授与される札は「一陽来福」と一文字異なり、これは観音経偈文の「福聚海無量（ふくじゅかいむりょう）」に由来しています。この点からも、放生寺と穴八幡宮の歴史的なつながりが見て取れます。

所在地

放生寺は、早稲田通りと諏訪通りの交差点に位置しており、交番の裏手にある丘がその境内となっています。隣接する穴八幡宮と共に、この地域を代表する歴史的なスポットです。

交通アクセス

東京メトロ東西線早稲田駅2番出口から徒歩3分。

脚注

放生寺は、その歴史と伝統を今に伝える貴重な寺院です。都心に位置しながらも、静かで落ち着いた雰囲気を保っており、多くの人々にとって心の拠り所となっています。また、穴八幡宮との深い関係は、神仏習合の歴史を今に伝える貴重な証拠と言えるでしょう。

参考文献

「下戸塚村 放生會寺」『新編武蔵風土記稿』 巻ノ11豊島郡ノ3、内務省地理局、1884年6月。NDLJP:763977/20。
斎藤長秋 編「巻之四 天権之部 高田八幡宮」『江戸名所図会』 2巻、有朋堂書店〈有朋堂文庫〉、1927年、546-547頁。NDLJP:1174144/278。

外部リンク

高野山真言宗 放生寺（公式サイト）
永代供養墓 永久の会墓苑 (放生寺の境内に創設された承継者不要の納骨堂)

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