放送線

放送線（ほうそうせん）について

放送線とは、主に放送局が制作した番組を効果的に伝送するために設置される専用の電気通信回線のことを指します。これにより、複数の放送局が同時に番組を放送したり、内容を中継することが可能となります。放送線は、テレビやラジオの難視聴地域での共同受信のためにも用いられ、有線放送や街頭放送の配信においても重要な役割を果たしています。

様々な用途

放送線は多様な使用目的を持ち、主に以下のような用途で用いられます：
1. 局間による放送素材の伝送：異なる放送局間で、番組や素材を共有する際に使用されます。
2. 演奏所から送信所や中継局への伝送：放送の中継や生放送を行うためのデータを送るための経路です。
3. 全国ネット放送：演奏所で制作した生放送や収録された番組を、全国のネットワークに流すためのラインネットを介した伝送です。
4. 中継放送：スポーツイベント等からの生中継を行うために、野球場やサテライトスタジオから情報を演奏所に送信します。
5. スタッフ間の業務連絡：放送局内でのスタッフ間の連絡を円滑に行うためにも利用されます。

この中継放送に関連した回線は「中継線」とも呼ばれ、通常、上りと下りの2つの回線が整備されています。放送線が導入される以前は、各局が放送波を直接受信して再送信を行っていましたが、現在はより効率的な専用線が利用されています。

整備の歴史

放送線の整備は、主に日本電信電話公社（電電公社）によって行われ、民営化後はNTTコミュニケーションズがその責任を引き継いでいます。以下は、放送線に関する具体的な沿革です：

• - 1954年：テレビ放送中継サービスの開始。
• - 1965年：AM放送中継サービスが導入。
• - 1979年：FM放送中継サービスがスタート。
• - 1990年：INSネット64サービスが始まり、音声コーデックをISDN回線と接続。
• - 1991年：AM・FM放送中継がBNEシステムに移行。
• - 2010年：FM放送中継サービスが廃止。
• - 2015年：AM放送中継サービスが終了。

伝送技術の進化

放送線はアナログ及びデジタル transmission 技術を用いています。アナログ方式では、1965年にAM放送専用線が登場し、1979年にはFM放送のための専用線が導入されました。これらは、帯域保証を受けた音声伝送サービスとして、特定の周波数帯域で運用されました。

デジタル技術の導入は1991年から始まり、BNE（放送線システム）と呼ばれるシステムに移行しました。現在では、ISDN回線に加え、IP回線、VPN、専用の光回線や衛星回線なども併用されています。例えば、日本放送協会（NHK）のラジオFMデジタル回線は光回線に移行され、一部の中継局ではアナログ専用線とデジタル回線を同時に使用していることもあります。

これらの技術は、放送業界において信号の品質向上や効率的な番組制作を支えており、今後もさらなる進化が期待されます。

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