政府閉鎖

政府閉鎖とは

政府閉鎖とは、主に議会における予算案の承認の遅れや不成立により、政府機関が一時的に閉鎖される状況を指します。これは、政府機関が運営に必要な資金を確保できなくなるために発生します。

アメリカ合衆国における政府閉鎖

アメリカ合衆国では、連邦政府機関の予算が不足した場合、Antideficiency Act（不足金請求禁止条項）に基づき、緊急性の高いものを除き、政府機関は業務を停止しなければなりません。新年度の予算案が可決されない場合、一時的な措置として暫定予算が組まれることがありますが、この資金が枯渇すると政府機関の閉鎖、さらには米国債の債務不履行といった事態も起こり得ます。

過去の政府閉鎖事例

アメリカでは過去に何度か政府閉鎖が発生しています。

1981年 米国連邦政府閉鎖
1984年 米国連邦政府閉鎖
1990年 米国連邦政府閉鎖
1995年 - 1996年 米国連邦政府閉鎖
2013年 米国連邦政府閉鎖
2018年1月 米国連邦政府閉鎖
2018年12月-2019年2月 米国連邦政府閉鎖

クリントン政権下の政府閉鎖（1995年-1996年）

ビル・クリントン政権下の1995年から1996年にかけて発生した政府閉鎖では、368もの国立公園、美術館、博物館などが閉鎖されました。パスポートの発給停止により約20万人に影響が出たほか、毒物処理機関の閉鎖、社会保障給付や恩給の停止といった事態も発生しました。

この背景には、下院議長ニュート・ギングリッチ率いる共和党とクリントン政権との間で、均衡財政や福祉削減を巡る対立がありました。共和党は歳出法案と債務上限引き上げ法案を阻止することで、クリントン政権から譲歩を引き出そうとしましたが、政権がこれに応じなかったため、政府閉鎖が長期化しました。

オバマ政権下の政府閉鎖（2013年）

バラク・オバマ政権下の2013年3月には、歳出削減を巡る共和党と民主党の対立から政府閉鎖の危機が生じました。しかし、強制削減後の水準で連邦政府支出を抑制しつつ、国防関連費など一部の分野については柔軟な支出を認めることで合意し、暫定予算が成立し、政府閉鎖は回避されました。

しかし、同年9月には、医療保険改革法（オバマケア）を巡る対立から予算が成立せず、10月1日から一部政府機関が閉鎖される事態となりました。この閉鎖は10月17日まで続き、スタンダード&プアーズの試算によると、約240億ドルの経済的損失が生じたとされています。

トランプ政権下の政府閉鎖（2018年）

ドナルド・トランプ政権下の2018年1月には、若年移民に対する国外強制退去の延期措置を巡る交渉が難航し、一部政府機関が閉鎖されました。

地方政府における政府閉鎖

連邦政府だけでなく、地方政府でも政府閉鎖が発生することがあります。

2005年 ニューヨーク州エリー郡
2005年 ミネソタ州（7月から2週間）
2006年 プエルトリコ
2006年 ニュージャージー州
2007年 ペンシルベニア州
2007年 ミシガン州
2010年 ニューヨーク州
* 2011年 ミネソタ州

政府閉鎖の影響

政府閉鎖は、国民生活や経済に様々な影響を及ぼします。国立公園や博物館の閉鎖、パスポートの発給停止、社会保障給付の遅延などが起こり、経済活動の停滞を招く可能性もあります。また、政府機関の閉鎖が長期化すると、国民の政府に対する信頼が損なわれることも懸念されます。

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