政所茶

政所茶（まんどころちゃ）

政所茶は、滋賀県東近江市政所町周辺で栽培されている日本茶です。政所町は滋賀県東部の鈴鹿山脈中に位置し、豊かな自然に囲まれた地域です。

歴史

政所茶は、永源寺こんにゃくと並び、古い歴史を持っています。室町時代、永源寺五世管長の越渓秀格禅師が、この地の水質・地質が茶の栽培に適していることを見抜き、村人に栽培を奨励したのが始まりとされています。

茶摘み歌にも「宇治は茶所、茶は政所…」と歌われ、宇治茶と並ぶ茶どころとして、その名が全国に知られました。江戸時代の国学者、本居宣長の著書『玉勝間』には、「政所人ども夏は茶を多くつくりて出羽の秋田に出し、ここでもお茶が秋田へくだる…」と記されており、当時、政所茶が東北地方にまで流通していたことがわかります。また、政所茶は朝廷や彦根藩にも献上されていました。

しかし、太平洋戦争終戦後、村人の集落離散や少子高齢化により、政所茶の生産量は減少の一途をたどりました。現在では、30軒ほどの農家で生産されるのみとなり、希少な茶となっています。

特徴

政所茶は、寒暖のはっきりした場所で栽培され、丁寧に手摘みで収穫されています。そのため、香りが良く、苦みの中にほのかな甘みがあるのが特徴です。その独特の風味は、政所の豊かな自然と、茶農家の人々の丹精込めた手作業によって育まれています。

関連項目

木地師（政所町周辺で茶業とともに盛んな伝統産業）

外部リンク

政所茶（東近江市）
政所茶について（政所園）
政所茶（誠盛堂茶舗）
* 政所と政所茶について（滋賀県立大学「政所茶レン茶゛ー」）

政所茶は、その歴史と風味を守りながら、現代に受け継がれています。希少な日本茶として、その価値が見直されつつあり、今後の展開が期待されています。

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