故意

故意の意義と法的特徴

故意（こい）とは、法律において他者の権利や法益を侵害する行為を意図的に行う意思のことを指します。特に故意が問題視されるのは、民事責任や刑事責任においてその行為者の心理状態を考慮する必要があるためです。

民事責任における故意

民事責任においては、故意や過失が債務不履行や不法行為責任の要素となります。不法行為責任における故意は、自身の行為によって他者の権利を侵害することに対する認識がありながら、あえてその行為を行う心理状態を示します。

この故意に対しては、以下の3つの学説があります：
1. 意思説：加害の意思があることが必要とされる。
2. 認識説：権利侵害や違法行為に対する認識だけで足りるとする。
3. 認容説：権利侵害を知りつつ、その結果の発生を認めることが必要とされる。

刑事責任における故意

刑事責任において故意は、罪を犯す意思として理解されます。故意は過失の主観要素と共通性があり、故意が認められた場合、その行為は過失問題にはなりません。犯罪の原則は故意犯を処罰するものであり、過失犯に関しては特別な規定がある場合に限り処罰されます。

故意は、行為の違法性を決定づけるだけでなく、責任の重要な要素でもあります。学説により、故意は以下の要素で分けられることがあります：

• - 構成要件的故意：犯罪が認定されるための主観的要素
• - 違法故意：行為の違法性を伴うものであること
• - 責任故意：行為者の反規範的な態度を示すものです。

故意の意義と態様

故意の意義に関してもいくつかの説があります。特に重要なものに、以下の3つがあります：
1. 表象説：犯罪事実の表象があること。
2. 意思説：犯罪事実に加えその実現の意思が必要。
3. 認容説：行為者が犯罪の実現を認容すること。

故意には、確定的故意と不確定的故意が存在します。確定的故意は犯罪事実を確定的に表象している場合であり、不確定的故意は不確定性を持つ場合です。

• - 概括的故意：範囲内のどれかに結果を生じるが客体は不確定。
• - 択一的故意：特定の客体に対する結果が不確定。
• - 未必的故意：結果が確実でないが、その発生を認容する場合です。

事前と事後の故意

故意は、場合によって事前と事後に分けられます。事前の故意とは、行為者が故意を持って行った行為で既に犯罪を達成したと誤信し、他の目的のために行った行為によって再度犯罪結果が生じるケースを指します。事後の故意は、意図せず行った行為の後に故意が生じた場合を示します。

このように、故意は法律において非常に重要な概念であり、その理解は法的な判断において注意深く考慮されなければなりません。

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