救難聖人

救難聖人とは

救難聖人（きゅうなんせいじん）とは、カトリック教会において、信者が危急の際に助けを求めて祈ることで、困難から救済してくれると信じられている特別な聖人たちのことです。これらの聖人たちは、特にヨーロッパにおいて15世紀中ごろから盛んに崇敬されるようになりました。

一般的には14人の聖人が「十四救難聖人」として知られていますが、地域や時代によって崇敬される聖人が異なる場合もあります。以下に、一般的に挙げられる14人の救難聖人を紹介します。

一般的な十四救難聖人

アギウス・エラスムス (聖エラスモ)：腹痛の守護聖人。
アギウス・ブラジウス (聖ブラシオ)：喉の病気の守護聖人。
アギウス・クリストフォロス (聖クリストフォロス)：旅行者の守護聖人。
アギウス・キュリアクス (聖キリアクス)：悪霊に取り憑かれた人の守護聖人。
アギウス・ディオニュシウス (聖ディオニシウス)：頭痛の守護聖人。
アギウス・イスタキウス (聖エウスタキウス)：家族の守護聖人。
アギウス・イジドール (聖イシドロ)：農民の守護聖人。
アギウス・ゲオルギウス (聖ゲオルギウス)：兵士の守護聖人。
アギウス・エジディウス (聖ジル)：病人の守護聖人。
アギウス・マルガレータ (聖マルガリタ)：出産時の守護聖人。
アギウス・パンタレオン (聖パンタレオン)：医者の守護聖人。
アギウス・ヴィトゥス (聖ヴィトゥス)：舞踏病の守護聖人。
アギウス・カタリナ (聖カタリナ)：哲学者の守護聖人。
アギウス・バルバラ (聖バルバラ)：爆弾から守る聖人。


これらの聖人たちは、それぞれ特定の苦しみや困難に対する守護聖人として崇敬されており、信者は必要に応じてそれぞれの聖人に祈りを捧げます。

その他の救難聖人

上記の14人以外にも、次のような聖人が救難聖人として加えられることがあります。

大アントニオス：皮膚病の守護聖人
ノブラのレオンハルト：囚人の守護聖人
ミラのニコラオス：子供の守護聖人
セバスティアヌス：疫病の守護聖人
シクストゥス2世
アポロニア：歯痛の守護聖人
* ロクス：疫病の守護聖人

救難聖人への崇敬は、中世ヨーロッパの社会において、病気や災害、戦争など、人々の生活を脅かす様々な困難に対する人々の切実な願いから生まれたと考えられます。現代においても、苦難に直面した人々が救いを求めて祈りを捧げる対象として、救難聖人への信仰は受け継がれています。

出典:世界宗教用語大事典 （中経出版）

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