教皇 (タロット)

教皇（The Hierophant）

教皇は、タロットカードの大アルカナに属し、番号は「5」です。前のカードは「4 皇帝」で、次のカードは「6 恋人」です。このカードは、日本語では法王や司祭長とも呼ばれ、英語ではThe Popeという名前が使われます。

カードの意味

教皇を引くことは、いくつかの重要なテーマを示しています。その中でも、正位置では慈悲や信頼、優しさなどのポジティブな側面が強調され、逆位置になると守旧性や束縛といったネガティブな面が浮き彫りとなります。

正位置において、教皇は人々の連帯や協調性を象徴しており、法令や規律の遵守が重視されます。また、信頼と敬意が相互に結びつく中で、自信や人徳も重要な要素です。しかし、逆位置では不信感や独りよがり、逃避などが強調され、人間関係においても困難が生じることが暗示されています。

カバラとの関連性

教皇に関連するヘブライ文字はヴァヴ（ו）であり、異説も存在します。特に「黄金の夜明け団」では、教皇がコクマーとケセドのセフィラを結びつける存在として考えられています。

占星術との関連

教皇はさまざまな星座や惑星と結びつけられています。白羊宮、金牛宮、獅子宮、人馬宮などの星座や、水星、木星などの惑星との関連性が議論されています。

寓画の解釈

教皇のカードは、その名が示す通り、教皇と二人の聖職者を主要なモチーフとして描かれています。教皇が人々を祝福し、罪を赦す場面は慈悲を象徴しています。また、教皇が中央に位置し、下部の二人の人物と上部の二本の柱が「5」の形を成していることから、教皇が「5」の支配者であることが示されています。

教皇は、宗教的な律法を司る存在であり、社会的な道徳とは異なる基準に従った裁きを行います。この点で、教皇と女教皇は共に教皇でありながらも、その性質は異なります。教皇は書物を持たず、自らが法であることを示しています。

教皇の持つ杖の先端には、霊を象徴する三つの十字架があります。この杖は、マルセイユ版の解釈によれば、個人的な力が超越的な力によって支えられていることを示唆しています。また、教皇の頭にのせた三層の冠は、霊的な要素の重要性を表しています。

教皇のカードは、全体として「悪魔」のカードとも対になる構成を持っています。悪魔のカードでは教皇が堕落した姿として描かれ、下の二人は前向きな姿勢を持つのに対し、教皇は冷ややかな態度を取ることがあります。これにより、大いなる力と人間の求道的な努力の葛藤が視覚的に表現されているのです。

最後に、教皇はウェイト版とマルセイユ版で描かれ方が異なる点が見受けられますが、22枚の大アルカナの中で主な構図が変わらなかった稀有なカードでもあります。全体的に、教皇は道徳的、霊的な側面を通じて人々に影響を与える重要な存在として、占いにおいて特別な意味を持っています。

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