教育ニ関スル戦時非常措置方策

教育ニ関スル戦時非常措置方策概要

1943年10月12日、東條内閣により閣議決定された「教育ニ関スル戦時非常措置方策」は、当時の日本における教育制度に大きな変革をもたらしました。この方策は、戦時体制の強化の一環として、学校教育を戦争に適応させるために設計されました。方策の中心には、戦争遂行力を高めることがありました。

施策の目的

施策の目的は、明確に国運の発展を念頭に置きながら、短期的には戦時中の教育をあらゆる段階で効率化し、戦争の要求に応じた内容に刷新することでした。この方策は戦時下における国民の教育を根本から見直し、国防の一翼を担う重要な施策となったのです。

具体的な措置

施策は多岐にわたる教育レベルに対して適用され、特に以下のような主要な内容が含まれていました。
1. 国民学校
義務教育の8年制は当面の間延期され、より短いカリキュラムが検討されました。
2. 青年学校
工場で働く生徒に対しては、授業を減少させ、実社会に即した教育を行うよう方針を転換しました。
3. 中等学校
昭和19年から4学年修了者に上級学校への入学資格を与え、入学定員を前年度を超えないように制限しました。
4. 高等学校
徴兵対象年齢に達していない生徒には授業を続行し、入学定員の縮小が図られました。
5. 大学・専門学校
入営延期を受けた生徒に対しての授業は続けられ、理科系の強化が求められました。また、私立の文科系機関も見直し、その教育内容の改善が追求されました。

教員確保と戦時勤労動員

教員の確保に関しては、教員養成学校の授業を続けるほか、現役軍人や退役軍人を教育者として採用する方策が講じられました。また、在学する学生に対しては、戦時勤労動員が強化され、1年間でおおむね3分の1の期間、戦力として活用されることとなりました。

学校の整理・統合

方策には、学校の統合、整理に関する措置も含まれており、学生や教職員の再配置が必要とされました。政府はこの過程で補助金を出す措置もとられました。特に、私立の理科系大学に対しては、廃止になった際の経済的措置が講じられる予定でした。

結論

教育ニ関スル戦時非常措置方策は、日本が戦争を遂行する中での教育制度の重要性を認識し、教育に対する新たなアプローチを見出したものです。しかし、このような戦時措置はその後の日本の教育制度に大きな影響を及ぼし、終戦によってその多くが無効とされました。

この施策は、その後の教育に形を変えつつも、戦争という極めて困難な状況下での日本の教育の在り方を考察させるものとして、歴史的意義を持っています。

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