教育困難校

教育困難校とは

教育困難校とは、学力や授業態度が低下している生徒の存在や、校内での非行や暴力といった問題行動によって、教育活動が困難な状況にある学校を指します。この用語は1980年代に特に高等学校教育の現場で頻繁に用いられるようになりました。教育困難校は、一般的に学力の偏差値が低い高校に多く見られるため、時には「底辺高校」という言葉を用いる場合もありますが、その表現は避けられることが多いです。

課題の発生原因

教育困難校の存在は、多様な要因が関与していると考えられています。例えば、高校進学率の急上昇により、学力の精緻な序列化が進行し、偏差値が低い高校が不明確な理由で進学してきた生徒を受け入れることになりました。そのため、教育活動が効果的に行えない環境が形成されています。また、特に都市部では、公立高校が密集していることも待遇の差を生む一因とされています。

教育社会学者の古賀正義によると、教育困難校では授業に対する態度があまりにも異なり、学ぶ意欲が間隔を持ってしまっていることが根本的な問題だとされています。生徒の中には授業妨害をするものや、学び直しの意欲があるがコミュニケーションに自信のない者、さらには気力に乏しいが自己主張ができない者が混在しており、こうした状況が教育活動をさらに複雑にしています。

学力との関連性

教育困難校では、通常、入学に必要な学力が周囲の学校と比較しても低いことが大きな特徴です。このため、一定の基準を設けることで、偏差値40台前半の普通科高校は教育困難校に分類されることが多いです。ただし、商業高校や工業高校など専門的な技術や資格を学ぶための専門高校は違った環境にあり、学びの目指すところが明確なため、教育困難校とは異なる状況が生まれています。

教員の奮闘

教育困難校においては、生徒指導が教育全体の中心を占めることになります。教員は、授業の進行において、欠席や遅刻、授業中の静かさを保つといった基礎的な指導から取り組む必要があり、授業の内容以前に、そのような基礎的部分が強調されるのです。これにより、教員の負担が大きくなり、過労や精神的な問題に悩むケースが増える傾向にあります。

教育困難校での教員は、転勤希望が少なく、場合によっては指導力不足や不祥事を抱えた教員が任命されることもあるため、環境がより厳しくなることがあります。しかし、教育困難校での経験が教員としてのスキルを磨く機会にもなることもあり、一部の学校では新たな教育方法を取り入れて改革に取り組んでいる例も見られます。

卒業後の進路

教育困難校からの卒業生は、専門学科だけでなく普通科でも就職を目指すことが一般的でした。しかし、近年の経済状況や就職市場の厳しさにより、地元の中小企業や非正規雇用への就職が増えており、理想の職業に就くことが難しくなっています。職種の選択肢は建設業や外食業が多く、企業から求められる高度なスキルを備えた生徒は教育困難校にはほとんどいないと言わざるを得ない状況です。

近年では少子化に伴い、大学への推薦入試のチャンスが増えてきていますが、進学先の選択肢も狭い状況は変わらず、教育困難校の卒業生には進学や就職のためのサポートが必要とされています。

文部科学省の施策

文部科学省は教育困難校への対応を強化するため様々な施策を講じていますが、その効果については議論が分かれています。教育困難校が抱える課題は根深く、今後の改善策が求められています。

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