敬王

敬王（けいおう）は、中国春秋時代の周の王であり、姓は姫、名は匄（がい）です。彼は周の景王の子として生まれました。

生涯

紀元前520年11月、敬王の兄である悼王が、王子朝の反乱によって殺害されるという事件が起こりました。この混乱の中、敬王は王位を継承し、子旅氏の館を拠点としました。しかし、王位は安定せず、王子朝の勢力との間で激しい戦いが繰り広げられました。

敬王の軍は京楚に布陣し、王子朝が拠る京を攻撃、その西南を破壊しました。紀元前519年には、周の軍と晋軍が協力して王子朝側の郊を包囲し、これを打ち破りました。しかし、情勢は一進一退を繰り返し、晋軍が本国に帰還した後、王子朝は尹氏の支援を受けて再び抵抗を続け、王城を占拠しました。この事態を受け、敬王は単穆公と劉文公の庇護の下、劉に身を寄せることになりました。

紀元前516年4月、劉文公の軍が尸氏で王子朝の軍を破り、情勢は好転します。7月には敬王は劉文公と共に劉を離れ、渠に宿営。その後、褚氏に進軍し、萑谷、胥靡、滑と転々と宿営地を変え、勢力を蓄えました。10月、滑で挙兵し、郊に入り、尸に宿営しました。11月には晋軍が王子朝側の鞏を陥落させ、召簡公が王子朝を追放、王子朝は楚へと亡命しました。これにより、敬王は尸に迎えられ、単穆公や劉文公と盟を交わし、軍を率いて圉沢、隄上と進軍し、ついに成周に入り、襄宮で盟を交わしました。12月には荘宮に入り、王としての地位を確立しました。

しかし、その後も国内は安定せず、紀元前513年には、京師で召伯盈、尹氏固、原伯魯の子が殺害される事件が発生しました。また、王子趙車が鄻で反乱を起こしましたが、これは陰不佞によって鎮圧されました。

紀元前504年、周の儋翩が王子朝の残党を率い、鄭の協力を得て成周で反乱を起こしました。敬王はこの反乱を避けて姑蕕に滞在し、翌年、儋翩は儀栗に入りました。この混乱の中で、単武公と劉桓公が儋翩に味方した尹氏を窮谷で撃破しました。単武公と劉桓公は姑蕕にいた敬王を迎え、晋の籍秦が敬王を護送しました。敬王は王城に入り、公族の党氏の館に滞在した後、荘宮で群臣の朝見を受けました。紀元前502年には、単武公が穀城を攻撃、劉桓公が儀栗を攻撃し、儋翩の乱を鎮圧しました。さらに、単武公は簡城を攻撃、劉桓公は盂を攻め、反乱は完全に平定されました。

敬王の時代には、周の都が大きく変わりました。平王以来、洛邑を都とし王城と称していましたが、王子朝の勢力が強い悼王までの都を避けるため、東（漢代の雒陽城、現在の漢魏故城の辺り）に遷都しました。この新しい都を成周と称し、以前の都を王城と呼ぶようになりました。この遷都は、周の勢力地図を大きく変える出来事でした。

紀元前476年、敬王は死去し、子の仁（元王）が後を継ぎました。敬王の治世は、国内の混乱と遷都という激動の時代でしたが、彼の努力によって、周は一時的な安定を取り戻すことができました。

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