数字譜

数字譜とは

数字譜は、アラビア数字を音名（音階名）に用いる文字譜の一種です。1234567の数字がそれぞれドレミファソラシに対応し、休符は0で表します。主に五線譜の音符に付記される形で使用されます。

数字譜の表記方法

五線譜に付記しない場合は、音域を区別するために、低音域の数字の下に「・」を、高音域の数字の上に「・」を表記します。また、音符の種類を表すために、数字の上に八分音符や十六分音符の旗に相当する「−」や「＝」を表記したり、数字を二分音符に相当する「○」で囲んだりします。

数字譜の長所と短所

長所

五線紙のような専用の用紙を必要としないため、手軽に楽譜を作成・共有できます。

短所

和声やポリフォニー（多声部音楽）などを表記する場合、五線譜に比べて視覚的に読みづらくなります。これは数字譜を含む文字譜全般に共通する短所です。

数字譜の歴史と現状

日本では、明治から昭和前期にかけて、五線譜よりも数字譜の方が一般的に普及していました。現在では、大正琴、複音ハーモニカ、二胡などの一部の楽器で数字譜が用いられています。

中国では、西洋から直接、または日本を経由して数字譜が伝わったとされています。中国語では「簡譜」と呼ばれ、現在でも五線譜よりも広く使われています。その背景には、近代以前から中国に存在していた工尺譜という数字譜に似た記譜法の影響があると考えられています。近年、海外との交流が増えるにつれて、中国でも五線譜が徐々に使われるようになってきています。

オンライン数字譜

インターネットの普及に伴い、テキストデータとして扱える数字譜が用いられるようになりました。例えば、アメージング・グレイスの冒頭部分は以下のように表記できます。


/ 005 //
/ 1'0(3'1') / 3'02' / 1'06 / 505 //
/ 1'0(3'1') / 3'0(2'3') / 5'00 / 00(2'3') //
/ 5'0(3'1') / 3'0(3'2') / 1'06 / 505 //
/ 1'0(3'1') / 3'02' / 1'00! / 000 //


この表記方法では、より単純なASCII文字のみで入力できるため、デジタル環境での楽譜作成や共有が容易になります。

まとめ

数字譜は、手軽に楽譜を記述できる便利な記譜法です。五線譜に比べて表現力に限りはありますが、そのシンプルさから今日でも一定の需要があります。特に、デジタル環境での利用においては、その簡便さが大きなメリットとなります。

関連項目

賛美歌・新編

注釈

上記のオンライン数字譜の表記例は、一例です。表記方法は、環境やソフトウェアによって異なる場合があります。

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