大正琴

大正琴（たいしょうごと）

大正琴は、日本で開発された独特な弦[[楽器]]で、木製の中空の胴体に金属製の弦を張り、ピアノのような鍵盤を備えています。演奏方法は、左手で鍵盤を押さえ、右手にはピックを使って弦を弾くスタイルが一般的です。この楽器は、簡便で誰でも楽しめる特性から、特に家庭用楽器として広まりました。

大正琴の発明

1912年、大正時代の始まりを見込んで名古屋の旅館に住む森田吾郎（提名としては川口仁三郎）が二弦琴を基にして大正琴を発明しました。鍵盤はピアノの配置を模しており、音域は発明当初から2オクターブありました。音色は金属弦の特性から独自の響きを持ち、従来の日本の琴とは異なります。特に、初心者ならぬ易しい音高での演奏ができる点が評価され、多くの家庭で親しまれる楽器となりました。発明の地名古屋市大須には大正琴の起源を示す石碑も建立されています。

仕様と音域

大正琴の鍵盤の数は多様で、12鍵から34鍵まで様々です。基本的にはソプラノ音域で演奏されますが、1970年代から1980年代にかけてアルトやテナー、ベース音域のモデルも開発されました。これにより、より低い音域でも演奏できるようになります。

弦の数も元々は2本からスタートし、さらに3弦から9弦のモデルも存在するようになりました。音の広がりを持たせるための巻弦の導入も進んだ結果、12弦や15弦の大正琴も試みられましたが、使用する人の技術的難易度が上がり、一般的には2〜12本の弦の楽器が多くなりました。近年では5弦や6弦が一般のモデルとして人気です。

使用される木材

大正琴にはさまざまな種類の木材が使用されます。主に以下のような材料が選ばれています:

• - 響板（表面板）: エゾマツ、スプルース、トウヒ
• - 側板や裏板: カエデ、キリ、ケヤキ、ニセアカシア
• - 指板や駒: コクタン、シタン

演奏と技法

演奏の際は左手で鍵盤を押し、右手でピックを弦にあてて音を出します。この際の基本として「向こう弾き」があり、上下の動きによってハーモニーを生み出します。また、返し弾きやトレモロ奏法、弓奏法などさまざまな技法がありますが、スライド奏法は一般的な大正琴では難しいとされています。大正琴は独奏や合奏の両方で楽しむことができ、基本的には旋律楽器として使用されます。

大正琴の浸透と現状

大正琴は日本国内に限らず、インドや東南アジア、さらにはアフリカのケニアやタンザニアでも親しまれています。特にインドではブルブル・タラングと呼ばれており、アフリカではタシュコタとして知られています。音楽教育の場でも取り入れられることが多く、最近では山崎バニラなどの有名人がマスコミで取り上げ、注目を集めています。

主な流派と組織

大正琴はその歴史が浅く、演奏方法や楽器形状が成長段階にあります。それに伴い数多くの流派や団体が存在し、以下のような主要な流派を形成しています:

• - 大正琴協会 (1993年設立)
• - 琴城流大正琴振興会 (1971年設立)
• - 琴伝流 (1974年設立)
• - 日本大正琴協会 (1976年設立)

日本全体で見られる大正琴の活動は今後も増えていくことでしょう。楽器としての可能性と、より多くの人々に親しまれることを期待しています。

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