敷居

敷居（しきい）とは

敷居は、柱間の上下に位置する水平の枠材で、襖や障子といった建具を収めるために設置される部品です。敷居の上部に位置する鴨居と一対を形成し、通常は建具を滑らせることで開閉することができます。このような部材をまとめて「内法物」とも呼びます。敷居の一般的な形状は、溝の入った横木ですが、無目敷居のように溝のないものも存在し、開き戸や仕切りにも適用されます。また、敷居という言葉は、門を指す場合にも用いられることがあります。

敷居の構造と材料

敷居は、松、檜、桜、栂、胡桃など、さまざまな木材から作られます。また、溝が摩耗するのを防ぐため、樫材を用いて溝底を補強することもあります。敷居の取り付け方には、目違い入れや横栓を利用した方法、さらに待ちほぞや横栓を組み合わせる手法があります。特に開き戸の下部に取り付けられる靴摺りは、床面との境界をしっかりと整える必要があります。敷居は建具の滑りを良好にするために、蝋の塗布や専用のスプレー、シールテープが利用されます。

敷居には様々な種類があります。無目敷居や薄敷居、差敷居、一筋敷居など、用途に応じた多様なタイプが存在し、特にバリアフリーを考慮した住宅では敷居を排除する例も見られます。

敷居の歴史

日本の古代においては、開き戸やあげ戸が普及しており、引き戸やそれに関連する敷居は一般的ではありませんでした。敷居が普及し始めたのは室町時代後期で、書院造の確立とともにそれまでの開放的な空間から個々の部屋に仕切られるようになりました。この時期には、武士社会が台頭し、引き戸の需要が高まることで敷居も普及していったと考えられています。

敷居の文化的意義

日本の礼儀作法において、敷居は踏むべきでないものとされていますが、その歴史は比較的新しいものです。いくつかの地方では、敷居に神様が宿るとされ、栃木県などでは主の頭に相当するという信仰が存在しました。この習慣は、敷居を保護するために発生したと考えられ、床下からの攻撃を防ぐという目的もあったのかもしれません。

敷居に関連する慣用句

また、敷居は慣用句の一部としても用いられ、特に「敷居が高い」という表現は、厳しい条件やアクセスの困難を示します。元々の意味とは異なる用法とされていましたが、2018年に発行された広辞苑第七版では「高級で入りにくい」という解釈が加わりました。この表現に対して「敷居が低い」という言葉も現れ、よりオープンでアクセスしやすい場所を示すようになっています。

このように、敷居は日本の文化や歴史に深く根付いた存在であり、ただの建材にとどまらない意味を持っています。

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