文五捕物絵図

『文五捕物絵図』

『文五捕物絵図』（ぶんごとりものえず）は、1967年4月7日から1968年10月11日まで、NHKによって放送された時代劇です。この番組は、杉良太郎が主演し、全74回にわたって放送されました。その後、25話分が東京12チャンネル（現在のテレビ東京）で再放送されました。

この作品の特異な点は、従来の捕物時代劇とは異なり、主に事件の犯人側からストーリーが展開されることです。従来は岡っ引が単独で犯人を追う形が一般的でしたが、本作では同心や下っ引きなどの捜査チームが連携し、集団で事件を解決する様子が描かれています。このリアルな描写や新しい手法が好評を受けて、放送は当初の予定を超えて半年間延長されました。

キャスティングの変更と杉良太郎の起用

当初の文五の役には竹脇無我が予定されていましたが、松竹からの反対により栗塚旭に変更されました。しかし、その栗塚も別の作品の撮影が重なり断念。そこで、前年に日活に所属し、テレビ時代劇『燃えよ剣』で注目を集めていた杉良太郎が自ら志願し、主役として起用されました。この機会によって杉は一気にスターダムにのし上がります。

あらすじ

物語は、江戸時代の天保年間を背景に展開します。神田天神下に住む若き岡っ引の文五が主人公です。彼は隠居した父・文五郎の跡を継ぎ、岡っ引として活動を始めます。文五は同心の長谷源八郎とともに、下っ引の丑吉、協力者の小間物屋の与之助、大工の三次、板前の矢七とチームを組み、様々な難事件に立ち向かい、次々と解決していきます。

スタッフ

本作品の原作は松本清張によるもので『虎』や『見世物師』などが収録された『紅刷り江戸噂』からきています。脚本は杉山義法、倉本聰、佐々木守など多くの著名な作家によって手がけられ、演出には和田勉や安江泰雅らが関わっています。また、音楽は冨田勲が担当しており、作品に深い影響を与えています。

リメイク版

『文五捕物絵図』は、1991年と1996年にそれぞれリメイクされています。特に1991年版では中村橋之助が文五役を演じました。このリメイク版では新たなストーリー展開とキャストが加わり、当時の視聴者に新しい体験を提供しました。

さらに、1996年版も中村橋之助が文吾役を再び務め、松本清張の他の作品からの要素も取り入れられたエピソードが展開されています。これにより、『文五捕物絵図』は一世代を超えて愛され続けている時代劇となっています。

まとめ

『文五捕物絵図』は、伝統的な捕物時代劇を革新する形で展開され、岡っ引の活躍を描きながらも警察ドラマの要素を取り入れた作品として、多くの視聴者に支持されました。杉良太郎の主演も記憶に残る名シーンを生み出し、この作品は日本のテレビドラマ史における重要な位置を占めています。

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