文化遺産・観光・手工芸省

イラン文化遺産・観光・手工芸省（MCTH）について

イラン文化遺産・観光・手工芸省（Ministry of Cultural Heritage, Tourism and Handicrafts、MCTH）は、イランの文化遺産、観光、手工芸を管轄する重要な政府機関です。多数の博物館複合施設の監督、教育・研究機関としての役割を担い、イランの文化振興に大きく貢献しています。

設立と変遷

MCTHは、1985年にイランの議会によって設立されました。設立当初は、11の研究・文化組織を統合した組織として、政府の管理下で運営されていました。2019年には、それまでのイラン文化遺産・手工芸・観光庁（ICHHTO）に代わり、省に昇格し、より幅広い分野を管轄するようになりました。

現在、大臣を務めるのはアリ・アスガル・モネサン氏であり、ハッサン・ロウハーニー大統領によって2019年8月21日に任命されました。

主な活動内容

MCTHは、多くの雑誌や書籍の出版、監督を行っており、イランの文化に関する情報発信に力を入れています。また、海外の博物館や学術機関と連携し、共同でプロジェクトを実施するなど、国際的な交流も積極的に行っています。その活動は、アメリカのスミソニアン博物館に類似していると言えるでしょう。

管轄下の博物館と宮殿

MCTHは、イラン国内の重要な博物館や宮殿を数多く管轄しています。以下はその一例です。

イラン国立博物館：イランの歴史と文化に関する貴重なコレクションを所蔵しています。
モルヴァーリード宮殿：壮麗な建築と美しい庭園で知られる宮殿です。
サアダーバード宮殿：歴代の王が居住した広大な宮殿群です。
ニヤーバラーン・コンプレックス
ゴレスターン宮殿：ユネスコ世界遺産にも登録されている、歴史的な宮殿です。
イマーム広場：イスファハーンにある広大な広場で、世界遺産に登録されています。
イラン・ガラス陶器博物館：イランのガラス工芸と陶芸の歴史を紹介する博物館です。
イラン・カーペット博物館：ペルシャ絨毯の美しさと歴史を展示する博物館です。
レザ・アッバースィー博物館
国立自動車博物館
アルゲ・バム：古代都市の遺跡で、世界遺産に登録されています。
シラーズ・パールス博物館
国立医学博物館

管轄する考古学プロジェクト

MCTHは、イラン国内の重要な考古学プロジェクトも管轄しています。以下はその一例です。

チョガ・ザンビル：古代エラム王国のジッグラトの遺跡です。
ソルターニーイェ：イルハン朝の首都であった都市の遺跡で、世界遺産に登録されています。
ビーストゥン：古代ペルシャの碑文が刻まれた岩山で、世界遺産に登録されています。
タフテ・ソレイマーン：古代ゾロアスター教の聖地の遺跡で、世界遺産に登録されています。
アルゲ・バム：上記参照
* ペルセポリスとパサルガダエ：古代ペルシャ帝国の都の遺跡で、世界遺産に登録されています。

地方組織

MCTHはイランのすべての州に支部を持ち、各支部は、地元のプロジェクト、史跡、博物館を管理・運営しています。これにより、イラン全土の文化遺産の保護と観光振興に貢献しています。

まとめ

イラン文化遺産・観光・手工芸省は、イランの豊かな文化遺産を保護し、観光を促進するための重要な役割を担っています。その活動は、イランの文化的な魅力を世界に発信する上で不可欠なものであり、今後の発展が期待されています。

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