イマーム広場

イマーム広場：世界の半分と謳われた美

イマーム広場は、イランのエスファハーンにある広大な広場です。かつては「メイダーネ・シャー（王の広場）」、正式には「メイダーネ・ナクシェ・ジャハーン（世界の肖像の広場）」と呼ばれていました。この広場は、サファヴィー朝のシャー・アッバース1世が1598年に首都をイスファハンに移した際、都市計画の中核として建設されました。

南北512m、東西159mの長方形の広場は、周囲を2層のアーケードが囲み、四方には壮麗な建築物が配置されています。

イマーム・モスク: 広場の南辺中央に位置するイマーム・モスクは、イランのイスラーム建築を代表する傑作で、美しいイーワーン（イスラム建築にみられる、壁で三方を囲まれた空間のこと）形式が特徴です。
シェイフ・ロトフォッラー・モスク: 東側に佇むシェイフ・ロトフォッラー・モスクは、王族専用の礼拝堂として使われていました。規模は小さいながらも、壁面やドームを覆う繊細なアラベスク模様は息をのむ美しさで、サファヴィー朝建築の白眉とされています。
ダールワーザ・イ・カイセリーヤ: 広場の北に位置するバザールの門です。
アリ・カプ宮殿: 広場の西側には、王宮の門であるアリ・カプ宮殿が建っています。

広場は16世紀末から改修を重ね、1617年頃に現在の姿となりました。19世紀後半には大規模な改変が行われましたが、基本的な構造は創建当時のまま残されています。1960年代には、イタリア中東研究所による修復工事と考古学的発掘調査が行われました。

現在、広場は池が設けられ公園として整備されていますが、かつては砂敷きの広場であり、様々な儀式や競技が開催されていました。アーケードは、下層が店舗として利用され、商人や手工業者に貸し出されていました。現在も多くのクラフトショップが軒を連ね、バザールと共にショッピングの中心地として賑わっています。モスクのドームや壁面を飾るタイルのアラベスクは、イラン芸術の粋を集めた美しさとして称賛されています。

世界遺産としての価値

イマーム広場は、以下の理由によりユネスコの世界遺産に登録されました。

(1) 人類の創造的才能を表現する傑作であること。
(5) ある文化を代表する伝統的集落であり、人と環境の関わりの際立った例であること。
* (6) 顕著な普遍的意義を有する出来事、思想、信仰、芸術と直接または明白に関連すること。

イマーム広場は、その壮麗な建築群と豊かな歴史を通じて、訪れる人々を魅了し続けています。

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