ペルセポリス

ペルセポリス：アケメネス朝ペルシア帝国の栄華と滅亡を語る遺跡

ペルセポリスは、紀元前6世紀から紀元前4世紀にかけて栄えたアケメネス朝ペルシア帝国の都として知られる都市です。イラン南西部のファールス州に位置し、古代ペルシア語では『パールサ（Pārsa）』と呼ばれていました。ギリシア語では「ペルシア人の都」を意味する『ペルセポリス（Persepolis）』と呼ばれ、現在では『タフテ・ジャムシード（ジャムシードの玉座）』として知られています。

ダレイオス1世による建設と王宮としての役割

ペルセポリスの建設は、ダレイオス1世によって紀元前520年頃に開始されました。反乱鎮圧後の出来事であり、当初は帝国の中心地として計画されたと考えられています。しかし、クセノフォンの記録によると、アケメネス朝の王族は、春はスサ、夏はエクバタナ、冬はバビロンに滞在していたと記されており、ペルセポリスは儀式の場として重要な役割を果たしていたと推測されています。

発掘調査により、紀元前509年から紀元前457年にかけてのエラム語の行政文書が発見されており、ペルセポリスで行政活動が行われていたことが確認されています。ダレイオス1世からクセルクセス1世、アルタ[[クセルクセス1世]]の治世にかけて建設は継続されましたが、王族の常住地としてはスサが中心であったと見られています。

多くの研究者によると、ペルセポリスは主に新年祭などの儀式を行う場所、諸民族からの貢納を受ける場所、そして王権の正当性を示す聖域として機能していました。天文観測所の役割も果たしていた可能性があり、暦の制定にも関わっていたと考えられています。

ペルセポリスの衰退とアレクサンドロス大王による破壊

時代が下るにつれて、ペルセポリスの政治的な重要性は低下していきました。王城内部にアルタクセルクセス2世やアルタクセルクセス3世の墓が造られたことからも、その衰退が伺えます。新年祭などの儀式もスサやバビロンに移されていき、ペルセポリスでの開催はなくなっていきました。

しかし、アケメネス朝が滅亡するまで、ペルセポリスは首都とみなされていました。アレクサンドロス大王がペルセポリスを征服した際に、膨大な量の黄金を略奪したという記録が残っています。この事実は、アケメネス朝末期においてもペルセポリスが重要な都市であったことを示しています。アレクサンドロス大王はペルセポリスを戦略的に重要な都市と認識し、征服後、破壊したと推測されます。

紀元前331年、アレクサンドロス大王の攻撃によりペルセポリスは破壊され、廃墟と化しました。その後、イスラーム時代には『マルアブ・スレイマン（ソロモンの遊技場）』『ハザール・ストゥーン（千の柱）』『チヒル・ミナール（40の尖塔）』などと呼ばれ、現在では『タフテ・ジャムシード』として知られています。

ペルセポリスという名称と歴史的記録

「ペルセポリス」という名称が歴史に登場するのは、アレクサンドロス大王の死後、クレイタルコスが著した『アレクサンドロス伝』が最初であると言われています。この書が広く引用されたことで、「ペルセポリス」はアケメネス朝の王都として知られるようになりました。つまり、ペルセポリスという名称が記録されるのは、すでに都市が破壊された後です。「ペルセポリス」という名称は、「ペルシアの都」と「都市を破壊する」を掛け合わせた言葉遊びだったという説もあります。

世界遺産登録

1971年にはイラン建国2500年祭典の会場となり、1979年にはユネスコの世界遺産に登録されました。登録基準は、人類の創造的才能を表現する傑作、現存するまたは消滅した文化的伝統または文明の唯一のまたは少なくとも稀な証拠、顕著で普遍的な意義を有する出来事と直接または明白に関連するもの、です。

ペルセポリスの遺跡は、アケメネス朝ペルシア帝国の栄華と滅亡を物語る重要な歴史的遺産であり、現在もその壮大な遺構は世界中の人々を魅了し続けています。

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