文書プログラム

文書プログラムとDOS文書プログラム

文書プログラム、およびその後に登場したDOS文書プログラムは、かつて日本IBMが販売していたパーソナルコンピュータ向けのワープロソフトウェアです。これらのソフトウェアは、当時のビジネスシーンにおける文書作成を大きく効率化しました。

文書プログラム

文書プログラムは、日本IBMが英文ワードプロセッサであるIBM Displaywriter Systemを日本市場向けに再設計したもので、1983年にマルチステーション5550と同時に発表されました。マルチステーション5550には、ワープロ専用機のように多数のキーを持つ「1型鍵盤」が用意され、文書プログラムでそれらのキーをフルに活用することができました。罫線や網掛けといった機能もこのキーボードによって容易に操作でき、高度な文書作成を可能にしました。

文書プログラムは、OSから起動するのではなく、専用のディスケットやハードディスクのパーティションから直接起動する方式を採用していました。文字コードも、一般的なDOSで使用されるコードページ932ではなく、EBCDICとIBM漢字コードを使用するという独自性を持っていました。

文書プログラムには、以下の種類が存在しましたが、ソフトウェアとしての互換性はありませんでした。しかし、データの読み込み自体は可能でした。

文書プログラム: マルチステーション5550専用で、OSを必要とせずにプログラム自体がシステムとして起動するタイプ。
DOS文書プログラム（漢字DOS用）: マルチステーション5550用で、日本語DOS K2.xまたはK3.xから起動するタイプ。
DOS文書プログラム（JDOS用）: PS/55のJDOS（IBM DOS J4.0、IBM DOS J5.0）用。
DOS文書プログラム（DOS/V|DOS_V用）: PS/55のDOS/V|DOS_V（IBM DOS J4.0/V、IBM DOS J5.0/V）用。

DOS文書プログラム

文書プログラムの後継として登場したDOS文書プログラムは、DOSアプリケーションとして動作するようになりました。しかし、対応するかな漢字変換ソフト（FEP）は、日本IBMの単漢字変換または連文節変換のみに限定されていました。また、一部のバージョンでは不正コピーを防止するためのプロテクトキーが採用されていました。

データ形式は、独自のバイナリ形式が採用されており、他のワープロソフトとの互換性はありませんでした。しかし、JDOS用およびDOS/V|DOS_V用ともに、OS/2日本語版のDOS互換環境(MVDM)での動作がサポートされており、一定の互換性は確保されていました。さらに、DOS/V|DOS_V版はIBM純正機だけでなく、PC/AT互換機|PC_AT互換機でも動作可能でした。

販売終了とその後

DOS文書プログラムは、Microsoft WindowsなどのGUI環境が普及するにつれて需要が減少し、1997年に販売を終了しました。後継として「織姫Lite」が開発・発売され、DOS文書プログラムで作成された文書データを読み込めるようになりました。これにより、過去の資産を有効活用することが可能になりました。

まとめ

文書プログラムとDOS文書プログラムは、当時のオフィス環境における文書作成において重要な役割を果たしました。独自の設計思想や文字コード、そして専用キーボードによる快適な操作性は、多くのユーザーに支持されました。販売終了後も、後継のソフトウェアによって過去のデータが活用できるなど、その技術は現代にも受け継がれています。

関連情報

ワープロソフト
織姫Lite

外部リンク

* ＩＢＭマルチステーション ソフトウェア

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