ワープロソフトとは
ワープロソフトは、
コンピュータ上で文書を作成、編集、保存するためのアプリケーションです。一般的には「
ワードプロセッサ」として知られ、手書きや
タイプライターに代わる用途で広く使われています。特に、日本では「ワープロソフト」という呼称が一般的ですが、国際的には「
ワードプロセッサ」が主の名称です。また、ワープロソフトは表計算ソフトとともに「オフィスソフト」としてカテゴライズされることが多く、これらを組み合わせた製品群を「オフィススイート」と呼ぶこともあります。さらに、文章の装飾機能がないテキスト編集機能を中心とするソフトは「テキストエディタ」と分類されます。
歴史
ワープロソフトの歴史は1970年代に遡ります。1974年から
1976年にかけてXerox PARCで開発されたBravoやGypsyは、WYSIWYG(What You See Is What You Get)という概念を初めて実現したドキュメント作成システムです。その後、Bravoの開発者チャールズ・シモニーは
マイクロソフトへ転職し、Microsoft Wordを開発、GiSyの開発者Tom Malloyとラリー・テスラーは
Appleに移り、LisaWrite(後のMacWrite)を作成しました。
1976年にはMichael Shrayerによって最初の家庭用ワープロソフト「Electric Pencil」が発売され、その後
1978年にはCP/M上で動作するWordStar、
1986年には
MS-DOS上で動作するWordPerfectが登場し、どちらもベストセラー商品となりました。日本では
1979年に、
Apple IIを基にした
九十九電機のモデルが発売され、
1983年にはPC-9801用の松や、一太郎の前身であるJS-WORDが登場し、いずれも日本のワープロ市場で成功を収めました。
1990年代には
Microsoft Windowsが広まり、それにともなってワープロソフトもWindowsプラットフォーム用のものが主流となりました。この時期、WordPerfectやLotus WordPro、Microsoft Wordが競争を繰り広げ、日本市場でも一太郎やMicrosoft Wordが主に利用されるようになりました。
1990年代後半からはMicrosoft Wordが実質的な標準ツールとして定着し始め、次第に競合製品が減少しました。
2000年代以降、Microsoft Wordの高額なライセンス料に対抗すべく、無料のオープンソースソフトであるOpenOffice WriterやLibreOffice Writerの利用が進み、クラウドベースの
Google ドキュメントも登場し、ユーザーの関心を集めました。
機能
ワープロソフトの大きな特徴は、文書の作成過程においてデータとして保存しておける点です。これにより、後からの修正が容易で、電子的な管理や他者との共有が進めやすくなります。また、画面上で文書を表示するだけでペーパーレス化も可能です。さらに、文字の装飾や図表の挿入に対応する編集機能も充実しており、
DTP(デスクトップ・パブリッシング)に適した編集機能を有するものもあります。
日本語に特化したワープロソフトは、漢字変換機能を持つ日本語入力システムを含むことが多く、その性能は製品間での差別化要因となっています。特に、一太郎にはATOK、松には松茸、OASYSにはOAKといった高評価の入力システムが付属しており、これらは単体で販売されることもあります。
主なワープロソフト
現在、利用されている主なワープロソフトには以下のものがあります。
- - 一太郎(ジャストシステム):日本初の国産ワープロソフトで、使いやすさが特徴です。
- - Microsoft Word(マイクロソフト):英語圏で普及したワープロソフトを基に、日本語版も充実しています。
- - Pages(Apple):Apple製品にバンドルされており、直感的に操作できます。
- - Google ドキュメント(Google):ブラウザ上で動作し、機能もシンプルで使いやすいです。
これらソフトウェアは、それぞれ利点や特色がありますが、市場での競争は現在も続いています。ワープロソフトは、文書作成のスタイルやニーズに応じて選ぶことができ、日々進化を続けているため、今後の動向にも注目です。