斎藤利安

斎藤利安（さいとう としやす）について

斎藤利安は、戦国時代に活躍した武将です。父は斎藤利永で、通称を四郎左衛門と称しました。子に利匡がおり、後世の系図や軍記では利隆、利賢も子として記録されています。

生涯

1490年（延徳2年）、利安は白樫城を築き、そこに居を構えました。その後、土岐成頼の後継を巡る家督争いに巻き込まれ、1495年（明応4年）7月には、妙純から土岐元頼方の古田氏討伐を命じられ、利綱と共に船田合戦に出陣しました。

1498年（明応7年）に斎藤妙純・利親父子が戦死すると、まだ幼かった利親の子・利良の後見役として、稲葉山城の麓へ移り住みました。永正年間（1504年から1520年）には、長井長弘と共に長良天神神社（岐阜市）の社殿を修復したとされています。

長井長弘との同一人物説

『美濃明細記』の斎藤系の記述によると、斎藤利安は長井長弘と同一人物であるという説があります。この説によれば、利安は美濃国池田郡の白樫城から本巣郡の文殊城へ移り、崇福寺（岐阜市）を建立したとされます。さらに、稲葉山山麓の長井洞に移り住んだ後、家臣筋の長井新左衛門尉（斎藤道三の父）に殺害されたと伝えられています。法名は崇福寺桂岳宗昌であり、墓所は崇福寺にあります。

系譜の混乱

斎藤氏の系譜については、後世の軍記、史書、系図において、長井長弘と同一人物とされるなど、混乱が見られます。同時代の香語や下火語の分析によると、利安の戒名は敬仲元粛であり、息子は利匡（桂岳宗昌）、孫は利賢となります。これらの記録から、後世の系譜と実際の関係性にずれがあることが示唆されます。

まとめ

斎藤利安は、戦国時代の美濃国で活躍した武将であり、その生涯は多くの謎に包まれています。土岐氏の家督争いに関与したり、神社の修復を行うなど、地域社会に深く関わっていたことが伺えます。長井長弘との同一人物説など、その人物像には不明な点も多いですが、後世の記録を通じてその足跡を辿ることができます。

参考文献

伊東実臣「国立国会図書館デジタルコレクション 齋藤系」『美濃明細記』一信社出版部、1932年9月30日。
尾関章「六角遠征以後の前斎藤氏について--「宝徳系図と美濃斎藤氏」補遺」『岐阜史学』第89号、岐阜史学会、1995年12月。
黒川真道 編『国立国会図書館デジタルコレクション 美濃国諸旧記・濃陽諸士伝記』国史研究会〈国史叢書〉、1915年7月26日。
宝賀寿男「【閑話休題】 春日局の系 ― 美濃斎藤氏」『古代氏族系譜集成』 中、古代氏族研究会、1986年4月。

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