斎藤惇夫

斎藤惇夫（さいとう あつお）

斎藤惇夫は1940年6月20日、新潟県新潟市で生まれた日本の児童文学作家であり、編集者です。彼は小学校から高校までを長岡市で過ごし、新潟県立長岡高等学校を卒業した後、立教大学法学部法学科に進学しました。

来歴

大学時代には60年安保闘争にも参加し、卒業後は大手電機メーカーで勤務していましたが、次第に自身の創作活動へとシフトしていきます。その後、福音館書店の編集部に入り、児童向け書籍の編集に長年従事し、最終的には同社の編集担当取締役に就任しました。1970年には処女作『グリックの冒険』を発表し、翌年には日本児童文学者協会新人賞を受賞。この成功は彼にとっての大きなターニングポイントとなりました。

特に1972年に発表した『冒険者たち ガンバと15ひきの仲間』は、国際児童年特別アンデルセン賞優良作品にも選出され、後にアニメ化や劇団四季の舞台作品にもなり、長年にわたって愛され続けています。また、1983年にはその続編にあたる『ガンバとカワウソの冒険』で野間児童文芸賞を受賞しました。しかし著者はこれらの作品が三部作であると考えているため、今後の続編を執筆する予定はないとしています。

長年の間、子どもたちに夢を与え続ける作品を書いてきた彼ですが、寡作としても知られています。2010年には、23年ぶりとなる創作『哲夫の春休み』を出版し、多くのファンの期待に応えました。

人物

斎藤の母方の祖父は政治家の田村文吉で、彼自身の創作にも家族の影響が垣間見えます。彼が『グリックの冒険』を書くきっかけは、家で育てていたシマリスに関するエピソードでした。同作のあとがきでも、自身の幼少期の体験が作品に多大な影響を与えたことを述べています。また、読者からの強い要望があったにもかかわらず、『冒険者たち』に続編を描くことはなかったのも、彼の強い意志の表れと言えるでしょう。

『グリックの冒険』の成功の後、斎藤は編集者として働いていた福音館書店の仕事で八丈島を訪れた際、そこで野生のイタチに惹かれたことが『冒険者たち ガンバと15ひきの仲間』の着想につながります。彼はその光景に心を奪われ、物語の構想を練り始めました。また、カワウソをテーマにした作品を執筆する際には、当時の絶滅の危機についてあまり知らなかったが、薮内正幸との会話を通じてその現状を知り、取材を行うことで作品を完成させました。

著書

斎藤惇夫の主な著作には、次のような作品があります。

• - 『グリックの冒険』（岩波書店、1982年）
• - 『冒険者たち ガンバと十五ひきの仲間』（岩波書店、1982年）
• - 『ガンバとカワウソの冒険』（岩波書店、1982年）
• - 『哲夫の春休み』（岩波書店、2010年）

彼の作品は長い年月に渡って多くの子どもたちに親しまれ、それぞれが独自の世界観を持ち、子どもたちの心に深く刻まれています。これからも彼の作品が新しい世代の読者に届くことを期待しています。

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