斎藤春子

斎藤春子：激動の時代を生き抜いた内閣総理大臣夫人

斎藤春子（さいとう はるこ）は、明治6年（1873年）3月30日に生まれ、昭和46年（1971年）9月14日に没した日本の華族です。第30代内閣総理大臣を務めた斎藤実の夫人として、激動の時代を生きました。

生い立ちと家族

春子は、薩摩藩士で海軍の重鎮であった仁礼景範の長女として東京に生まれました。兄の仁礼景一は日露戦争で戦死、弟の仁礼景雄は昆虫学者として知られています。春子は明倫女学校（現在の横浜清風高等学校）を卒業後、東洋英和女学校に進学しましたが、中退しています。

結婚と総理大臣夫人として

明治25年（1892年）2月5日、春子は斎藤実と結婚しました。斎藤実との間には実子がおらず、斎藤斉を養子に迎えています。昭和7年（1932年）5月、斎藤実が内閣総理大臣に就任したことで、春子は内閣総理大臣夫人となりました。総理大臣夫人として、昭和9年（1934年）まで公務を支えました。

二・二六事件とその後

昭和10年（1935年）、斎藤実は内大臣に就任しましたが、翌昭和11年（1936年）2月26日、二・二六事件が発生します。陸軍将兵らが斎藤邸を襲撃し、寝室にいた斎藤実は死亡、春子も負傷しました。夫の死後、春子は日本赤十字社篤志看護婦人会員となり、社会貢献に尽力しました。

晩年と遺産

太平洋戦争が悪化した昭和20年（1945年）、春子は夫の実家がある岩手県胆沢郡水沢町（現在の奥州市）に疎開しました。終戦後も水沢に留まり、余生を過ごしました。昭和38年（1963年）には水沢名誉市民に選ばれました。同年、自宅を水沢市に寄付することを表明し、その自宅は後に斎藤實記念館となりました（昭和47年（1972年）開館）。昭和46年（1971年）9月14日、春子は98歳でその生涯を閉じました。墓所は東京都府中市の多磨霊園にあります。

斎藤春子は、激動の時代を生き抜き、夫を支え、社会貢献にも尽力した女性でした。その生涯は、多くの人々に感銘を与え続けています。

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