斎藤達雄 (俳優)

斎藤達雄（さいとう たつお）

概要

斎藤達雄は1902年6月10日に東京で生まれ、1968年3月2日に亡くなった日本の俳優及び映画監督です。彼は松竹蒲田撮影所に入社し、その独特の演技により、脇役や短篇喜劇映画の主役として多くの作品に出演しました。特に、小津安二郎監督の作品において重要な役割を果たし、数多くの名作に出演しています。戦後も貴重な脇役として、また監督としても活動しました。

生い立ち

斎藤は、東京都深川区佐賀町（現在の江東区）に生まれたが、父親が芝居道楽のため家庭が困窮し、生活は厳しかったようです。幼少期に映画館に訪れる機会に恵まれ、映画に強い関心を持つようになりました。京華中学校を卒業後、しばらくの間シンガポールで過ごし、そこで初めて映画の出演経験を積みました。

映画キャリアのスタート

1923年、松竹蒲田撮影所に入社し、映画デビューを果たします。その後も多くの映画に出演し、特に小品映画や短篇喜劇での演技が高く評価されました。1928年には小津安二郎監督の作品に主演し、以来、小津の映画において欠かせない存在となります。彼の役はいつもユーモラスであり、観客に愛されたキャラクターが多数います。

小津安二郎との関係

斎藤は小津安二郎監督の短篇喜劇に多く出演し、その中でも特に印象的な作品が多く存在します。例えば『肉体美』では妻に頭が上がらない亭主の役を演じ、また『会社員生活』では会社をクビになったサラリーマンの役など、彼の演技は状況に応じて非常にリアルでありながら、ユーモアに富んだものでした。小津映画における斎藤の存在は、映画に深みを与える重要な要素となっていました。

監督としての活動

1947年以降はフリーとなり、様々なジャンルの映画に出演しながら、1950年代には監督業にも進出します。監督作の中には、『嫁ぐ今宵に』や『純情社員』などがありますが、監督としての評価はあまり高くはありませんでした。それでも彼は、テレビドラマの草創期にも多く目立った存在として活躍しました。

私生活と死

斎藤は一度結婚した後、離婚し、ドイツ人女性と再婚しましたが彼女とも死別。その後、付き人と再婚し、二人の子どもをもうけました。彼は1968年に肺がんで亡くなっており、その死は日本映画界において大きな損失と受け止められました。

影響と評価

斎藤達雄はその独特な存在感と多彩な演技力を持つ俳優として、日本映画界に大きな影響を与えました。彼の飄々としたキャラクターは多くのファンに愛され、長い間記憶に残るものでしょう。また、小津安二郎との関係は、日本映画史において重要な位置を占めています。斎藤の活動は、今も多くの映画ファンに語り継がれています。

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