断裁分離のクライムエッジ

『断裁分離のクライムエッジ』とは

『断裁分離のクライムエッジ』は、緋鍵龍彦による日本の漫画作品で、『月刊コミックアライブ』にて2009年5月号から2015年9月号まで連載されました。本作は、永遠に切れない髪を持つヒロインと、彼女を守る主人公を含む「殺害遺品（キリンググッズ）」を持つ殺人鬼の子孫たちの戦いを描いたラブ・バトルストーリーです。2013年4月から6月にかけてテレビアニメが放送されました。

あらすじ

主人公の灰村切は、女性の髪を切ることに異常な執着を持つ中学生の少年です。ある日、彼は偶然立ち寄った洋館で、長く美しい黒髪を持つ少女・武者小路祝と出会います。祝の髪はどんな方法でも切ることができない呪われた髪でしたが、切が所持していた鋏「クライムエッジ」によって初めて切ることができました。この出会いをきっかけに、二人は殺害遺品を巡る殺人ゲームに巻き込まれていきます。

主要登場人物

灰村 切（はいむら きり）

声 - 花江夏樹

本作の主人公。4月9日生まれの162cm、53kgの少年で、私立十草中等教育学校に通っています。彼は「断裁分離のクライムエッジ」の権利者であり、女性の髪を見ると切りたくなる衝動に駆られます。家族とは別居し、祖父と暮らしており、父親とは連絡を取っていません。洋館で祝と出会い、彼女の髪を切ったことから、祝専属の理髪師となり、彼女を守るために戦うことになります。当初は血を見るのが苦手でしたが、戦いを重ねる中で好戦的な一面も現れ始めます。祝とは相思相愛の恋人同士ですが、なかなか進展しない関係を気にしています。

武者小路 祝（むしゃのこうじ いわい）

声 - 小岩井ことり

本作のメインヒロイン。2月6日生まれの136cm、32kgの少女で、切と同い年ですが、小学生のような外見をしています。彼女は「髪の女王」と呼ばれ、どんな鋏でも切れない呪われた黒髪を持っています。父親は数年前に他界し、母親もいないため、洋館で監視されながら生活していました。切のクライムエッジによって初めて髪が切れるようになり、自身を巡る殺人ゲームに巻き込まれます。十草学校に入学し、普通の生活を喜んでいますが、深夜12時に髪が伸びるため、毎日切に髪を切ってもらう必要があります。切に好意を抱いており、彼との関係が進展しないことを気にしています。

病院坂 病子（びょういんざか やまね）

声 - 福原香織

殺害遺品「昏睡昇天のインジェクション」の権利者で、切の同級生。目の下に隈があり、水色のツインテールが特徴の美人です。殺害遺品の影響で殺意の衝動に駆られており、過去に両親を毒殺しています。感情の起伏が乏しく、双子の姉である法子に依存しています。しかし、切と知り合ってから少しずつ心を開くようになり、祝のことも「祝ちゃん」と呼ぶようになりました。切を信頼し、彼の戦いを手助けすることもあります。

病院坂 法子（びょういんざか ほうこ）

声 - 内山夕実

病子の二卵性双生児の姉。赤毛のポニーテールが特徴で、皮肉屋ですが妹思いです。妹がインジェクションの権利者になった影響で両親を襲った時、自分が妹を理解しようとしなかったことを後悔し、妹と同じ苦しみを背負おうとします。妹の殺人衝動を抑えるため、自身に生理食塩水を注射しています。祝のことは不憫に思いつつも、嫌われるように振る舞っていますが、実際は彼女のことを気にかけています。

皇 鼎（すめらぎ かなえ）

声 - 遊佐浩二

醜聞のメンバーで、修身大学文学部の教授。祝と病院坂姉妹の後見人であり、病院坂姉妹を通して切に情報を提供しています。猟奇的な性癖を持ち、ロリコンでもあります。殺人ゲームを激化させることで、その裏に隠された真実を暴き出そうとしています。

ヴァイオレット・ウィッチー

声 - 田村ゆかり

醜聞のトップで、魔女の末裔。一人称は「ボク」。殺害遺品「人身対価のクイーンプルフ」を所持しており、その力で他の殺害遺品の力を使うことができます。祝や権利者たちに同情しつつも、醜聞の役割を遂行しています。切に興味を持ち、ちょっかいを出す一方、祝に特別な感情を抱いています。

殺害遺品（キリンググッズ）とその権利者

物語には、様々な殺害遺品とその権利者が登場します。以下はその一部です。

断裁分離のクライムエッジ：灰村切が持つ梳き鋏。あらゆるものを切断できる。
昏睡昇天のインジェクション：病院坂病子が持つ注射器。薬効を強化する。
破砕粉壊のスレジハンマ：ハンマー。対象を脆くする能力を持つ。
交響歓喜のピアニシモ：軽子瞳が持つピアノ。演奏を最後まで聴いた者を殺す。
判決執行のルールブック：中嶋正義が持つ本。犯罪者を処刑する。
愛玩屠殺のペットウィップ：四方堂瑠架が持つ鞭。対象を服従させる。
鮮血解体のオープナー：エミリー・レッドハンズが持つナイフ。切断能力を持つ。
照準貫通のラピッドショット：神敬一郎が持つライフル。必中の弾丸を放つ。
秘匿謀殺のカンタレラ：フリッツ・マイヨールドが持つ瓶。毒を生成する。
人身対価のクイーンプルフ：ヴァイオレット・ウィッチーが持つコイン。殺害遺品の能力を借りる。

その他の登場人物

美墨かしこ：切のクラスメイトで、長身の美少女。祝の髪に憧れている。
初郷和：切のクラスメイトで、オカルト好き。
鳴門小太郎：切の親友で、居合部のエース。
エミリー・レッドハンズ：殺害遺品「鮮血解体のオープナー」の権利者で、受注製品。祝の亡き父親に育てられた。
神敬一郎：殺害遺品「照準貫通のラピッドショット」の権利者で、受注製品。
フリッツ・マイヨールド：殺害遺品「秘匿謀殺のカンタレラ」の権利者で、受注製品。

殺害遺品とは

「殺害遺品」は、過去の殺人鬼が愛用していた道具に呪いがかけられ、特殊能力を宿したものです。これらの遺品は、権利者（殺人鬼の子孫）を選ぶと、権利者の持つ恐怖心を消し、殺人を犯させます。また、権利者の心の底にある欲望を露わにする効果もあります。権利者は、殺害遺品の力を使い戦いを繰り広げることになります。

呪われた髪と「髪の女王」

武者小路祝は、「髪の女王」と呼ばれ、どんな物でも切れない呪われた髪を持っています。この呪いは代々受け継がれており、彼女の髪は殺害遺品の呪いを解く鍵ともなっています。祝の髪は、切の「クライムエッジ」でのみ切ることができ、そのことで、彼女を巡る殺人ゲームが始まるきっかけとなります。

アニメ版

2013年4月から6月まで、テレビアニメが放送されました。アニメーション制作はStudio五組が担当し、監督は山口祐司、シリーズ構成は浦畑達彦が務めました。オープニングテーマは愛美が歌う「運命の檻」、エンディングテーマは武者小路祝（小岩井ことり）が歌う「硝子の三日月」などです。

まとめ

『断裁分離のクライムエッジ』は、独特な設定と魅力的なキャラクターが織りなすラブ・バトルストーリーです。殺害遺品を巡る戦い、呪われた髪を持つヒロイン、そして主人公たちの複雑な関係性が、読者を物語に引き込みます。

もう一度検索