斯波宗氏

足利 宗氏について

足利宗氏（あしかが むねうじ）は、鎌倉時代の中期から後期にかけて、その名を刻んだ武将です。彼は斯波氏（足利尾張家）の第3代当主として知られ、武士としてだけでなく、その歌人としての才にも光を放っていました。

家族と背景

宗氏は斯波宗家の嫡男であり、母は北条時継の娘です。若い頃は又三郎や尾張守と名乗っていたと言われており、当初は家貞という名で呼ばれていたとの記録もあります。彼の妻は大江時秀（長井時秀）の娘であり、この結婚によって彼の家系はさらに強固なものとなりました。

南北朝時代には有力な武将として名を馳せた斯波高経や斯波家兼兄弟の父でもあり、彼の家族関係は2つの名門の繋がりを示しています。

生涯と功績

宗氏の生涯については不明な点が多く、詳細な記録は残っていないものの、延慶2年（1309年）3月29日には幕府の尋問に応じて証文を提出していることから、この時期に足利尾張家の当主としての地位を確立していたと思われます。

また、宗氏は同時代の歌人としても名前が知られており、彼の詠んだ歌が『続後拾遺和歌集』や『新千載和歌集』などの勅撰和歌集に収められています。このことから、武将としての側面だけでなく、文化人としての側面も持ち合わせていたことが窺えます。

宗氏の最期については、曖昧な記録が残されています。『尊卑分脈』などの系図では、彼は「早世」とされており、平成30年（2018年）に高野山金剛三昧院で発見された宗氏の五輪塔の銘文には「正和元年十二月」と刻まれていました。これが宗氏の没年とする説も存在しています。

一方で、彼の嫡子である高経は、元亨3年（1323年）12月に北条貞時の十三回忌供養に参与しているため、少なくともこの時期までには彼が息子に引き継がれた後、亡くなっていた可能性が示唆されています。

参考文献

• - 小川信『足利一門守護発展史の研究』吉川弘文館、1980年。
• - 今谷明; 藤枝文忠 編『室町幕府守護職家事典』 下、新人物往来社、1988年。
• - 「守護大名と戦国大名」『歴史と旅』第24巻14号増刊、秋田書店、1997年。

足利宗氏は、鎌倉時代における武士の一員だけでなく、歌人としてもその名を刻み、今なお多くの研究者や歴史愛好家に関心を持たれる人物です。

もう一度検索