新イタリア社会党

新イタリア社会党(NPSI): イタリア社会党の遺産と複雑な政治的歩み

イタリア社会党(PSI)はかつてイタリア政治の中枢を担っていましたが、1990年代初頭の汚職事件「タンジェントポリ」によってその地位を失いました。ベッティーノ・クラクシ書記長（後に首相）の失脚と亡命は、PSIの崩壊を象徴する出来事でした。1994年の総選挙では議席数を激減させ、党は事実上解体へと向かいました。

この混乱の中、元外相ジャンニ・デ・ミケーリスらによって「新イタリア社会党」(NPSI)が結成されました。NPSIはPSIの政治的遺産を継承することを謳い、党章にも赤いバラのモチーフを用いるなど、そのつながりを示しています。しかし、NPSIの政治的立場はPSIとは大きく異なっていました。

PSIが中道左派勢力の中核をなしていたのに対し、NPSIはシルヴィオ・ベルルスコーニ率いる中道右派政権「自由の家」に参加しました。社会主義インターナショナルにも加盟せず、中道右派政党であるキリスト教民主主義者＝中道民主主義者連合（UDC）と連携を強めました。この政党選択は、NPSIがPSIからの明確な決別を図ったことを示しています。

NPSIの構成員には、元首相クラクシの息子ボボ・クラクシ氏など、PSIからの離党組が多く含まれていました。このため、NPSIは依然としてPSIの影響下にあるという見方もありました。2001年の総選挙ではボボ・クラクシ氏が当選するなど、その影響力は一定程度維持していました。

しかし、NPSIの右派政権参加は常に安定したものではありませんでした。2005年の地方選挙での惨敗後、NPSIはUDCと共にベルルスコーニ政権からの離脱を宣言しました。ベルルスコーニ首相は、内閣改造でNPSIに妥協し、ステーファノ・カルドーロを大臣に任命することで事態の収拾を図りました。しかし、この妥協は一時的なものでした。

2005年10月、NPSIは内部対立により分裂しました。ボボ・クラクシ氏率いる左派は「社会主義者」と改称し、中道左派連合へ合流しました。一方、デ・ミケーリス氏ら中道右派を支持する勢力はNPSIに残りました。

2006年の総選挙では、NPSIは惨敗を喫し、下院でわずか1議席しか獲得できず、上院では議席を失いました。この結果、NPSIはイタリア政治における影響力をほとんど失い、その存在感は薄れていきました。

NPSIの歴史は、イタリア社会党の衰退と変容、そして、複雑な政治的駆け引きを象徴するものです。PSIの伝統と遺産を継承しつつも、中道右派勢力との連携を選択したNPSIの歩みは、イタリア政治の激動を反映しています。その後のNPSIの動向については、さらなる調査が必要です。

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