新グロモント

グロモントとは

グロモントは、現在レック株式会社が製造・販売を手がける日本の代表的な栄養ドリンクです。その歴史は約60年前に遡り、誕生以来、幾度かの販売元変更や製品改良を経て、現在に至っています。かつては中外製薬株式会社、そして株式会社ライオンが本ブランドを取り扱っていました。

歴史

グロモントのルーツは、1964年5月に当時の中外製薬が発売した医薬品ドリンク「グロンサンバーモント」にあります。この製品は、中外製薬が独自に開発した薬用成分「グルクロノラクトン」（通称グロンサン）を配合し、アメリカ・バーモント州に伝わる民間療法「バーモント健康法」に着想を得た、アップルビネガーと蜂蜜の風味を持つものでした。当時の栄養ドリンク市場では、大正製薬の「リポビタンD」や大日本製薬（現在の住友ファーマ）の「ヘルタスバーモント」などが主要な競合製品として存在していました。その後、製品名はより親しみやすい「グロモント」へと短縮され、さらに処方を強化することで、現在の形へと進化していきました。

大きな転換期が訪れたのは2004年末です。中外製薬が一般用医薬品や殺虫剤といった一般消費者向け製品の事業から撤退することを決定したため、2005年1月より、その事業を引き継いだライオンからグロモントが発売されることになりました。ライオンにとって、グロモントとその姉妹ブランドである「グロンサン」の取り扱いは、ドリンク剤分野への本格的な参入を意味するものでした。

ライオンへの移管後も、製品の改良は続けられました。2009年秋には、「新グロモント」に生薬成分であるリュウガンニクエキスが配合され、販売名が「新グロモントA」へと変更されました。この「新グロモントA」は、2013年8月と2017年10月にパッケージデザインが刷新されています。特に2017年10月のリニューアルでは、指定医薬部外品の承認基準改正に対応し、効能として「疲労の予防・回復」が明確に記載されるようになったほか、メーカー希望小売価格を設定しないノープリントプライス方式に切り替わりました。

また、新たな販路として、2022年2月には法人向けのノベルティ用ラインナップが加わり、注文生産に対応した2本入りセットが登場しました。

そして、2024年6月28日付で、グロモントの商標権、製造権、販売権がライオンからレックへと譲渡されました。レックへの事業移管後、2025年1月27日には製品名が「グロモントPREMIUM」と改められ、パッケージデザインも従来の緑色から黄色基調へと刷新されるなど、大規模なリニューアルが行われました。このリニューアルを機に、ライオン時代にはあまり見られなかった積極的な広告展開も開始されています。

広告活動

グロモントはその長い歴史の中で、印象的な広告活動を展開してきました。歴代の広告キャラクターには、中外製薬時代にはハナ肇（前身製品から）、八代亜紀、劇団東京乾電池、三好鉄生、布川敏和、高嶋政伸、あき竹城、井原正巳、ブルース・リー、峰竜太・海老名美どり夫妻、森末慎二、平泉成などが名を連ね、レック時代には吉川晃司、張本智和・張本美和兄妹、古賀紗理菜・石川真佑ペア、安田祐香・安田美祐姉妹が起用されています。

特に記憶に残る歴代のキャッチコピーとしては、以下のようなものが挙げられます。

ガンバラナクッチャ（1971年放送、CMソングはシングルレコード化）
がんばれば愛（アニメ「がんばれ!!タブチくん」とのコラボCM）
ちかれたびー（1974年放送、秋田県の方言で、1975年の流行語となる）
アゴ出すな!（八代亜紀出演、1978年放送、「非常に疲れた様子」を表す慣用句）
ガンバリます（三好鉄生出演）
からだが資本 元気が基本（森末慎二出演、1987年放送）
燃えろ!（井原正巳、ブルース・リー出演）
グイっとくる!（高嶋政伸出演）
* 疲れためるな!元気よつづけ!（レック時代）

これらのキャッチコピーは、その時代の社会情勢や人々の心情を捉え、「がんばる」「疲労回復」といった製品イメージを強く印象づける役割を果たしました。

製品ラインナップ

現在販売されているグロモント製品には、指定医薬部外品の「グロモントPREMIUM」（販売名：新グロモントA）や、企業限定商品の指定医薬部外品「新グロモントロイヤル」があります。過去には、シリーズ初の50ml入り医薬品だった中外製薬時代の「新グロモントロイヤル」（現在のものとは別）、医薬部外品の「新グロモントアルファ」、指定医薬部外品の「新グロモントゴールド」（2016年5月製造終了）、医薬品の「新グロモントエース」などが存在しました。

約60年の歴史を積み重ねてきたグロモントは、販売元の変更や製品の進化を経て、これからも人々の元気と活力を支える存在として、その歩みを続けていくでしょう。

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