新・坊っちゃん

『新・坊っちゃん』について

『新・坊っちゃん』は、1975年10月17日から1976年3月26日までNHK総合テレビで放送されていたテレビドラマです。この作品は、全22回にわたって放送され、当時の視聴者に強い印象を与えました。

放送枠と時代背景

放送時間は毎週金曜日の20:00から20:55まででした。この時間帯は、前作の「ふりむくな鶴吉」まで約1年間にわたり時代劇が放送されていた枠でありました。しかし、『新・坊っちゃん』以降は、明治時代以降の現代を背景としたドラマが次々と放送されることになり、1977年4月から放送された「鳴門秘帖」まで時代劇が途絶える結果となりました。本作は明治時代が舞台であるため、ある意味で時代劇の要素を持っていると言えます。

キャストと役柄

このドラマには多くの注目キャストが参加しており、特に主人公の坊っちゃん（矢ヶ部剛）を演じた柴俊夫の存在感が光りました。また、マドンナ役には当初、大原麗子が予定されていましたが、ギラン・バレー症候群により降板し、急遽結城しのぶがその役を引き受けました。さらに、前作で主人公の相棒を演じた西田敏行が山嵐役で出演し、これにより彼はその後のキャリアにおいても大きな飛躍を遂げることになります。他にも、林寛子がオリジナルキャラクター「あき」として登場するなど、多彩なキャストが集結しました。

ストーリーとテーマ

物語は、明治中期の松山の中学校を舞台に展開します。主人公である矢田部（坊っちゃん）は新たな数学教師として赴任し、そこでの人間模様を描いていきます。原作となった夏目漱石の小説に基づきながらも、オリジナルストーリーが追加され、キャラクターたちの関係性や成長が描かれました。特に「西郷いまだ敗死せず」というエピソードでは、西南戦争で亡くなった西郷隆盛が生きているという噂が広まり、その謎解きが重要な要素となっています。また、野だいこが命の危機を感じ、赤シャツに裸体画を描かせるというドラマオリジナルのエピソードも印象的です。

番組の現存状況

放送当初、全22回の中で第1回のみが現存していないという状況でしたが、視聴者からの提供により第2回から最後までの21回分が発掘されました。2015年からはNHKアーカイブスの番組公開ライブラリーにおいて、全話が視聴可能となり、多くの人々がこの作品を再び楽しむことができるようになりました。

まとめ

『新・坊っちゃん』は、明治時代を舞台にした豊かな人間ドラマと優れた演技が光った作品です。特にキャラクターたちの複雑な人間関係や成長が丁寧に描かれ、多くの視聴者の心に残る名作となっています。

もう一度検索