新・平家物語 (NHK大河ドラマ)

『新・平家物語』

『新・平家物語』は1972年から1972年末まで放送されたNHKの大河ドラマであり、日本の歴史を背景にしたドラマの中でも特に大規模な製作が行われた作品です。主演を務めたのは名優仲代達矢で、原作は著名な作家吉川英治による同名の小説です。これは平家の繁栄と衰退を描いており、視聴者に深い感動を与えました。

企画と制作

この作品は、過去の大河ドラマの成功を受けて、90年以上にわたる草創の時代を考慮して新たに企画されました。奈良、平安、室町の時代が候補に挙がったものの、それぞれの時代の特性や難しさから、平安時代が選ばれることになりました。京都が主な舞台として設定され、平氏の視点から物語が展開される点が特徴的です。

本作の脚本は、ホームドラマにおいて実績のある平岩弓枝が担当しました。制作側は本作を「平氏一門のホームドラマ」と位置づけ、より個人の感情や家庭のドラマを強調しました。キャストには過去の大河作品で主演経験のある実力派俳優が揃い、豪華な顔ぶれが実現しました。衣装や甲冑の予算が限られた影響もあり、主なロケーション撮影が制約を受け、特に合戦のシーンは多くがスタジオで撮影されました。この技法は、絵巻物のような独特の世界観を創出する狙いがあったと、チーフディレクターの清水満氏が語っています。

唯一のロケは厳島神社での清盛による奉納シーンであり、ここだけが実際の場所で撮影されました。

視聴者の反響

放送直後の視聴率は初回が17.3%、最高視聴率に関しては27.2%を記録し、全体の平均視聴率は21.4%という高い数字を誇りました。このような結果は、物語の質だけでなく、キャストの力量や制作の巧妙さが視聴者に受け入れられたことを示しています。

登場人物

本作には数多くの登場人物がおり、平家一門の名が挙がります。平家の中心人物である清盛や、その家族の悲劇的な状況が主軸となります。また、源氏や朝廷のキャラクターも重要で、彼らとの関係性を通じて物語が展開されます。特に後白河院や崇徳院などの立場を持つキャラクターは、権謀術数の中での葛藤を描かれました。

音楽と放送

冨田勲が音楽を担当し、テーマ曲や劇中曲にはNHK交響楽団と和楽器との融合が見られ、時代背景に相応しい独特の雰囲気を創造しました。本作は毎週日曜に放送されましたが、特別番組や他の競技放送などの影響を受けたため、放送時間が調整された回も存在しました。

映像の保存状態

残念ながら、総集編は現存していますが、第46回と最終回の映像はモノクロとなっており、再放送の際に特別な工夫が求められることもあります。また、NHKはこの作品のビデオテープを一般からの提供を呼びかけており、視聴者からの関心が続いています。

『新・平家物語』は、歴史ドラマとしての娯楽性だけでなく、深い人間ドラマや歴史的背景も絡めた重厚な作品であり、それが多くの視聴者に愛され続ける理由となっています。

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