新・日本国憲法試案

新・日本国憲法試案

『新・日本国憲法試案』は、幸福の科学グループの創始者であり総裁でもある大川隆法によって執筆された著作で、日本国憲法の改正に関する提案を行うものです。この書は、政治思想の一環として位置付けられ、幸福実現党の中心的な理念を表しています。本書の副題には「幸福実現党宣言(4)」とあるように、幸福実現党が目指す未来の日本の国家ビジョンを具体的に具現化した内容となっています。

概要

本書は、聖徳太子の十七条憲法を意識した構造を持ち、前文および16条から構成されています。その根底にあるのは、国家の理念に基づく人間の尊厳の確保であり、現行日本国憲法の問題点への批判も行っています。2009年6月21日には、日本の主要な新聞において、本書に先立つ形で憲法試案の前文と全16条が発表されました。また、この試案は、2009年6月15日に書き下ろされた前文と16条と、大川が6月16日に行った講義に基づき、編纂されたものです。

主張

大川は、幸福実現党による政治への進出は権力志向ではなく、思想家としての使命から来ていると主張しています。彼の考えでは、国家の理念を憲法に明示することが重要であり、そのために必要な条文は16条と限られています。これは、既存の憲法が多くの不要な条文を残し、国民の自由の領域を狭めていると考えたためです。さらに、本書では自由主義の理念に基づき、法律の目的は人々の自由を確保することにあるとしています。この考え方に基づき、過剰な規制を排除する必要性を述べています。

大川は、現行憲法の前文が英語からの翻訳であるため、日本語として不適切であり、人権や主権についての根拠を欠いていることを批判しています。本書では、そのような意義の欠如を克服するために、「人間の尊厳」という視点から根源的な理由を述べているのです。

批判

本書の発表後、特に保守派や左翼団体から多くの批判が寄せられました。特に、天皇制や国家元首に関する考え方が問題視されました。2009年6月24日には、保守派のテレビ番組で議論が展開され、幸福実現党側からも反論が寄せられました。また、同年の『文藝春秋』では、大川のインタビューとともに、この憲法改正試案についての論考が掲載されました。この中で、憲法学者の八木秀次からも意見を求めていた事実が明らかになり、国家元首に対する見解について浅薄であるとの指摘がなされました。

書籍情報

『新・日本国憲法試案』は、2009年7月7日に幸福の科学出版から発刊されました。著者は大川隆法で、副題には「幸福実現党宣言(4)」が付されています。この書籍は、政治思想に基づく日本国憲法改正の試案として、多くの議論を呼び起こしています。ISBNは978-4-87688-353-0です。

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