新五捕物帳

新五捕物帳

『新五捕物帳』（しんごとりものちょう）は、1977年から1982年まで日本テレビ系列で放送された時代劇で、全196話から成ります。元々は陣出達朗の原作に基づき、毎週火曜日の20時から20時54分に放映されていました。この作品は、天保年間を舞台に、御用聞きの駒形新五が様々な事件を解決するハードボイルドな物語です。

概要と特徴

多くの時代劇と同様に、この作品も勧善懲悪の要素を持っていますが、特に庶民の悲しみや苦悩に焦点を当てたストーリーが多いのが特徴です。基本的に新五が目撃した非業の死による恨みから悪人を討つ展開が多く、本作のハッピーエンドの物語は少なく、物語の終盤では新五が壮絶な戦いを繰り広げます。たとえば、時には敵が十人以上いても、素手でこれを打ち倒すという一方的な戦いを展開しています。

制作は当時の風俗や習慣に忠実であり、御用聞きが携帯する道具である十手も、実際の使用法に基づいている点に工夫がなされています。新五の下っぱである魚屋の銀次や、他のキャラクターもそれぞれ独特の設定を持ち、ストーリーに深みを与えています。

エピソードと音楽

オープニングテーマ曲は番組の放送が始まってから第118話まで変わることがなく、その時々の映像が差し替えられていました。第119話からは、新たに玉川伊佐男演じる同心・吉井が登場し、物語が進むにつれてオープニングの映像が刷新されました。同様に、主題歌もアップテンポなものに替わりました。

特別エピソード

1981年には特別エピソードが放送され、杉良太郎が二役を演じる『大江戸桜吹雪、八千両の舞』や『春姿ふたり鼠小僧』などが放映されました。この中でも、新五と他のキャラクターが同じ画面に登場するシーンは合成技術を用いて制作されており、視聴者に新鮮な驚きを提供しました。

キャスト

この作品には、駒形新五役の杉良太郎を筆頭に、岡本信人、山城新伍、有島一郎などの幅広いキャストが揃いました。各キャラクターが持つ個性的なストーリーが物語を彩り、視聴者を惹きつけました。大場伝蔵役の有島一郎、銀次役の岡本信人といったキャストも印象深く、多様なキャラクターの演技が作品の質を高めています。

スタッフと制作

原作そのものが陣出達朗によるもので、脚本や音楽など幅広い分野で多くの才能が結集しており、サウンドトラックやナレーションも魅力を高める要素になっています。また、昭和の時代背景を感じさせる美術や演出が視聴者を引き込む要因ともなっていました。

このように、『新五捕物帳』は単なる時代劇にとどまらず、時代の倫理や人間関係の複雑さを映し出した作品です。特有のテーマを描き出しながらも、根底には庶民の生活が感じられ、今でもファンに愛され続けています。

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