新井 (中野区)

新井（あらい）

東京都中野区に位置する「新井」は、区の北部寄りに広がる地域である。現行の行政区分としては、新井一丁目から新井五丁目までの区域を指し、全域で住居表示が実施されている。多くが低層住宅を中心とした閑静な住宅地で占められているエリアである。

地理

この地域は、東側を上高田、南側を早稲田通りを境に中野と接している。北側には妙正寺川が流れ、それを隔てて沼袋と向かい合う。また、西武新宿線を挟んで松が丘とも隣接し、西部は野方と境界を接している。

町域の多くの部分が住宅地であるが、南側の早稲田通り沿いはJR中野駅から比較的近く、徒歩圏内にある。一方、西部に位置する新井三丁目や四丁目方面は、隣の沼袋駅からのアクセスが良い。北部西側には、広大な敷地を持つ平和の森公園が整備されており、区民の憩いの場となっている。この公園は、かつて中野刑務所があった跡地に造られたものである。

地価

新井における住宅地の地価は、東京都が発表する公示地価によって示される。例えば、2025年（令和7年）1月1日時点の公示地価によれば、新井2丁目の地点で1平方メートルあたり86万円、新井4丁目の地点では同63万1000円となっており、中野区内の住宅地としての価値を示している。

歴史と地名の由来

「新井」という地名は、戦国時代に新しく掘られた井戸に由来すると伝えられている。

地域を代表する存在として、特に名高いのは、真言宗豊山派の寺院である新井薬師（正式名称：梅照院）である。眼病平癒や子育てにご利益があるとされ、古くから多くの人々の信仰を集めてきた。中野区内では最大規模を誇り、東京都内でも有数の著名な寺院として知られている。この寺院は、西武新宿線の「新井薬師前駅」の駅名にもなっているが、駅自体は新井の町域ではなく、駅前の通りを隔てた隣の上高田に位置している。

産業と経済

古くから地域には、様々な産業が営まれてきた。特に明治・大正期には、窪寺國三郎氏や窪寺傳吉氏といった人物が料理業や精米業で名を馳せ、地域の経済を牽引しただけでなく、地方政治にも関与するなど、その影響力は大きかった。また、煎餅商など、地域密着型の商店も数多く存在したことが記録に残っている。

現在も、早稲田通り沿いや駅周辺を中心に、多様な商店、サービス業、事業所などが集積しており、地域の経済活動を支えている。包装用品専門店の「西田商店」や「みずほ銀行中野北口支店」なども当地に立地している。また、かつて地域には「窪寺」姓を中心とした多くの地主がいたことも知られている。

主要な施設

新井には、地域住民や来訪者に利用される様々な施設が点在している。歴史の節でも触れた新井薬師（梅照院）は、その筆頭に挙げられる。

梅照院に隣接する新井薬師公園は、桜の名所としても知られ、地域住民の憩いの場として親しまれている。また、先述の平和の森公園は、広大な緑地を提供する重要な施設である。

スポーツ施設としては、キリンレモンスポーツセンターの愛称で知られる中野区立総合体育館があり、様々な屋内スポーツ活動の拠点となっている。その他にも、法務省矯正研修所東京支所、北野神社、中野処理場、中野区障害者福祉事業団（ニコニコ事業団）、親子連れに人気のおもちゃ美術館、NTTクオリア、中野Studio twlなど、公共、文化、業務に関する多様な施設が立地している。

その他

新井の郵便番号は165-0026であり、集配業務は中野北郵便局が担当している。

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