新右翼

新右翼の概要

新右翼（しんうよく）は、戦後の日本において出現した右翼の一種であり、主に既成右翼に対する反発から生まれました。戦後の右翼は「親米反共」という立場が主流でしたが、新右翼はその枠組みを超え、反米反共の立場を取る少数派の運動として発展しました。

既成右翼の形成

戦前の日本では、反米感情はそれほど強くはなく、アメリカとの関係は比較的友好的でした。しかし、1924年の排日移民法が成立したことにより、日本人に対するアメリカの敵対心が顕在化し、これ以降日本社会における反米感情は広がりを見せます。戦後冷戦の時代、アメリカによる支配体制が強まる中で、親米が世論の多くを占めるようになり、これに対抗する形で新右翼が為されました。

新右翼の形成

新右翼は、主に民族主義と国家主義を強調し、従来の反共主義や親米政策とは一線を画します。これは戦後の右翼の大多数が掲げていた反共主義や親米の思想とは異なる立場を取るもので、反親米体制や民族主義的な要素を中心に据えています。新右翼の権威的な理論家である三島由紀夫が、1968年に楯の会を結成し、遂には1970年に三島事件を引き起こすこととなり、その事件は新右翼運動に大きな影響を及ぼしました。

民族派と新右翼

「民族派」と「新右翼」は似たような意味合いを持ちますが、後者のほうが最近の用語です。民族派という呼称は1970年代前半の学生運動を指しますが、一方で新右翼は1970年代後半に結成された運動に多く用いられました。このように、民族派が持つ「民族の自主独立」という観点を重視しつつ、新右翼としての活動も展開されました。

行動する保守と新右翼

2000年代に登場した行動する保守という新たな動きの中にも、新右翼と同様に反米・反共を掲げる勢力が存在します。ただし、親米反米については必ずしも明確に位置づけられず、むしろ反韓や親台独派との関係を重視する傾向があります。

批判

新右翼に対する見解は多岐にわたりますが、評論家である松本健一は新右翼の代表的な組織である一水会を批判しています。また、鈴木邦男も松本の意見に言及しており、興味深い論争が生じています。

まとめ

新右翼は、日本の政治における独特の位置づけを持つ運動であり、非主流派であるがゆえに特異な特徴を有しています。歴史的な背景や関連の政治運動を理解することによって、その複雑な姿をより良く知ることができるでしょう。今後も新右翼の動向やその影響を見逃さないよう注意が必要です。

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