新善光寺 (札幌市)

北縁山 廣度院 新善光寺

北縁山 廣度院 新善光寺は、北海道札幌市中央区に位置する浄土宗の寺院です。山号を北縁山、院号を廣度院と称し、札幌における重要な寺院の一つとして知られています。

歴史

新善光寺の歴史は、1882年（明治15年）に大谷玄超が北海道を巡教した際に、札幌での寺院創立を計画したことに始まります。1884年（明治17年）には、薄野遊郭内に「新善光寺」の公称許可を得て開山しました。その後、1901年（明治34年）に現在の場所に移転しています。この移転には、豊平館の料理人として知られる原田伝弥も協力しました。

1886年（明治19年）には、檀家の支援により、大谷玄超が寺の裏手にある藻岩山に参道を整備し、石像を設置しました。1888年（明治21年）には盛大な山開きが行われ、この参道は現在も登山道として利用されています。1901年（明治34年）には、二代目住職の林玄松が西国三十三カ所観音霊場を模倣し、藻岩山に三十三体の観音像を配置して霊場として整備しました。当初は掛け軸を木の枝にぶら下げていたものの、後に僧侶らが観音像を担ぎ上げ、順次整備を進めたといいます。山頂には観音像を祀った石堂も建立されました。

また、境内にあった太子堂は、札幌の職人たちから厚く信仰されていました。

1946年（昭和21年）に建物が焼失しましたが、1964年（昭和39年）に五代目住職の太田隆賢によって本堂が再建されました。1976年（昭和51年）時点では、養老院や附属病院、幼稚園なども経営していました。

2019年現在、関連法人として新善光寺学園しろいし幼稚園、社会福祉法人札幌慈啓会、清璋寺、東京別院霊源寺があります。

阿弥陀如来坐像

光明の間に安置されている阿弥陀如来坐像は、1964年（昭和39年）に京都・浄国寺から遷されたもので、平安時代後期の作と鑑定されています。当初は鎌倉時代の作と伝えられていましたが、仏像研究家によって調査された結果、平安時代後期の作であることが判明しました。重要文化財申請も見送られましたが、新善光寺において鑑定作業が行われ、平安時代後期の作との結果が得られています。

奥の院

1973年（昭和48年）には、藻岩山山頂にあった石堂が移設され、六角堂として拡充されました。1992年には、藻岩山山開き大祭を記念して本格的な木造建築物として落慶され、藻岩観音奥の院と呼ばれるようになりました。正式名称は浄土宗観音寺藻岩観音奥之院です。石堂時代に祭られていた観音像は、現在は奥の院の傍で「水かけ観音」として親しまれています。

札幌養老院

新善光寺は、1925年（大正14年）に札幌市伏見町に養老院を設置し、「札幌養老院」と名付けました。1947年（昭和22年）には、入居者の病人が多かったことから「札幌養老院附属病院」も設置されました。1968年（昭和43年）には、昭和天皇、香淳皇后による慰問が行われました。

1969年（昭和44年）に「札幌養老院」から「社会福祉法人札幌慈啓会」と改称し、現在に至ります。社会福祉学者の杉本貴代栄によれば、この札幌養老院の設置により、新善光寺は「北海道における老人福祉施設のリーダー」となりました。また、新善光寺は札幌医科大学の協力の下、老人医学・老人社会学を研究するための「財団法人老年医学研究振興会」を設立するなど、幅広い活動を行っています。

恒例行事

毎年、藻岩山の山開き大祭前日の深夜には、新善光寺の信者らが藻岩山に登り、大祭当日の御来光を拝みながら奥の院を参拝するのが恒例となっています。

近年の取り組み

2017年には、同寺や東本願寺札幌別院、成田山札幌別院新栄寺の僧侶が集まり、本堂で僧侶によるファッションショー「かもテラBOZUコレクション」が開催されました。宗派ごとに異なる袈裟衣装や、僧侶が着る白い婚礼衣装などが披露され、話題を呼びました。

交通アクセス

• - 札幌市営地下鉄東豊線豊水すすきの駅7番出口からすぐ
• - 札幌市営地下鉄南北線すすきの駅から徒歩5分

新善光寺は、地域に根ざした活動を続けながら、多くの人々に心の安らぎを与え続けています。

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