新妻イト

新妻イト（にいづま イト、1890年8月5日 - 1963年7月15日）は、日本の女性政治家であり、日本社会党の衆議院議員（1期）を務めました。また、労働省少年婦人課長としても活躍しました。旧姓は鈴木で、新妻伊都子とも呼ばれることがあります。

来歴

新妻イトは、1890年8月5日に神奈川県横浜市で生まれました。1911年に横浜英語商業学校を卒業後、アメリカに渡り、サンフランシスコのビジネスカレッジで学びました。現地ではジャーナリストの新妻莞と結婚し、帰国後に鈴木茂三郎らの政治研究会に参加し、社会運動に身を投じました。婦選獲得同盟兵庫県支部でも活動していました。

1926年6月には、廃娼運動を推進する国民委員会が発足すると、同会の委員に指名されました。第二次世界大戦中は北海道に疎開し、札幌で日用品活用協会の事務を担当しました。

戦後の1946年、第22回衆議院議員総選挙に北海道第1区から日本社会党公認で立候補し、第3位で初当選を果たしました。これにより、新妻イトは日本初の女性代議士の一人となりました。翌年の第23回衆議院議員総選挙でも北海道1区から立候補しましたが、残念ながら落選しました。

落選後は、初代労働省少年婦人課長に就任し、その他にも婦人緑十字社の理事長などを務めました。1963年、舌癌により生涯を閉じました。

新妻イトは、その生涯を通じて女性の地位向上と社会運動に尽力し、日本の政治史における重要な人物の一人です。彼女の業績は、現代の女性の活躍にも大きな影響を与えています。

詳細

新妻イトの政治活動は、社会変革への強い意志と、女性の権利を守るという揺るぎない信念に支えられていました。彼女は、教育を受け、海外での経験を通じて、広い視野を持つことが重要であることを理解していました。そのため、帰国後は社会運動に積極的に参加し、女性の地位向上を目指す活動を精力的に行いました。

特に、廃娼運動への関与は、当時の社会における女性の劣悪な状況を改善しようとする彼女の強い意志を表しています。また、第二次世界大戦中には、疎開先で日用品活用協会の事務を行い、戦時下の生活を支える活動にも尽力しました。

戦後、衆議院議員に当選したことは、女性が政治の舞台で活躍するための大きな一歩となりました。彼女の当選は、多くの女性に勇気を与え、その後の女性政治家の誕生につながる重要な出来事でした。労働省少年婦人課長としては、戦後の混乱期において、少年や婦人の福祉向上に貢献しました。彼女の政策立案能力や実行力は、多くの人々から高く評価されました。

新妻イトの生涯は、困難な状況の中でも、自らの信念を貫き通した女性の姿を現代に伝えています。彼女の活動は、日本の社会運動史、そして女性の権利運動史において重要な意味を持ちます。彼女の功績は、今日においても私たちに勇気とインスピレーションを与え続けています。

参考文献

『議会制度百年史 衆議院議員名鑑』大蔵省印刷局、1990年11月。
岩尾光代著『新しき明日の来るを信ず－はじめての女性代議士たち』（日本放送出版協会、1999年）ISBN 4140804394
日本国政調査会編『衆議院名鑑 第1回・1890年～第34回・1976年総選挙』国政出版室、1977年。
朝日新聞選挙本部編『朝日選挙大観』朝日新聞社、1997年。

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